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クラウド会計コラム⑭~2018年10月31日freee障害から学ぶバックアップの重要性~
東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
クラウド会計ソフトfreeeは、2018年10月31日の12時30分から15時46分まで
緊急システムメンテナンスとして、すべてのサービスが一時停止しました。
月末は、会計のみならず、人事、請求といった業務の締めで最も忙しい時ですから、「何でこのタイミング!?」と焦り、怒り、様々な感情が沸き起こったことと思います。
仮に日をまたいだとしたら、申告が遅れることになりますから、さらに影響が大きくなったことでしょう。
これまでは、貸借不一致仕訳が登録される現象が起こっても、ウィークリーメールが送信されない現象が起こっても「今後の開発にご期待ください」とのんきな返事が来るだけでしたが、
今回は「多大なるご迷惑、ご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。」と述べているので、事態の重大さを少しは理解しているようです。
えびな税理士事務所の業務には影響ありませんでしたが、今後の使用に堪えうるかを判断するため、以下の事項についてサポートに質問しました。
1 原因の詳細
2 緊急メンテナンスの内容の詳細
3 再発防止策の詳細
4 今回のエラーが原因で申告期限に間に合わなかった場合の補償の有無
5 1-3月の個人所得税申告、4-5月の法人税申告の繁忙期に当該事象が再発する可能性の有無
この回答から分かる企業姿勢によっては、他の会計ソフトに移行するユーザーが増えるかもしれません。
今回の一連の現象について、税理士目線からいくつかお伝えできることがあります。
(2018年11月12日追記)
文書回答があり、ほとんどホームページのお知らせと同内容でしたが、
原因は「システム運営オペレーションの操作において誤った操作があったため」とことでした。
「システム運営オペレーション」とは、具体的にどのようなものなのかは分かりませんが、
人為的ミスが原因であると読み取れます。
freee社においては、過去のやり取りから人員不足であると認めており、今後も同様の事態が起こる可能性は否定できません。
それにしても、然るべき立場の方からの文書回答を求めたところ、代表取締役名で文書が提示されたということは、
やはり品質保証部門が存在しない(または機能していない)ということなのでしょうか。
(2018年11月26日追記)
11月20日に「システム障害に関するご報告」と題してfreee社ホームページに追加の報告が掲載されています。
新たな情報は「新機能開発上のオペレーションのミス」という程度ですが、この報告をホームページ上に掲載するだけで、
メールや会計等のトップ画面でユーザーに周知することを一切行っていません。
この点、ユーザーにメール、トップ画面等で周知しない理由を問いただしていますが、回答がありません。
「もう直ったからいいでしょ」とでも言いたいのでしょうか。
表向きには意見に耳を傾けること言いながら、職業専門家が指摘した都合が悪い事案は無視する、というのは会社として子どもそのものです。
システム障害というよりは製品事故であると税理士海老名は考えますが、最後まで説明を尽くさない対応は他業界から見ると相当「いいかげん」です。
freee社の企業としての信用度には大いに疑問符が付きます(ユーザーの皆さまにおかれましては、このような新興企業特有のリスクをご認識の上、ご使用ください)。
結局、freee社は最後まで誠実に説明を尽くしませんでした。
インストール型会計ソフトにはそもそも緊急メンテナンスはない
今回の事象においては、「中の人(freeeのメンテナンス担当者)頑張れ」というツイートも多く見かましたが、そもそも弥生会計などのインストール型の会計ソフトにはメンテナンスがあるから使用できません、ということ自体ありません。
バージョンごとに仕様は変わっても、一度インストールしたら最後まで画面や使用方法が変わることはありません。
さらに、クラウド型よりもインストール型の方が、開発の歴史が長いですから、過去の失敗の蓄積がたくさんあるため、深刻・重大なエラーが出づらいのです。
他のクラウド会計ソフトでも、このような事象は起こっていません。それだけ異常な事態なのです。
使用料金も、月額制であるクラウド会計ソフトは値上げ傾向で、インストール型ソフトを一度で買ってしまった方が安い、と判断されるユーザーも多いことでしょう。
データバックアップの観点から税理士に依頼するメリットあり
クラウド型ではベンダー側に不測の事態が起こったら、インストール型では自分のパソコンが故障したら会計データにはアクセスできなくなります。
会計データにアクセスできなくなったら、もう一度入力をやり直さなければなりません。レシートその他証憑がないと税理士だってお手上げです。
1年分ではありません。多くの税務調査は、過去3年分を調査の対象としていますから、前年以前の会計入力の必要も生じるかもしれません。
どの会計ソフトも業務の効率化を売りとしながら、これでは何のために会計ソフトを買ったのか分かりません。
えびな税理士事務所では、データバックアップの観点と会計帳簿の正確性を確認するため、
決算ごとにクラウド会計ソフトのデータを弥生会計にもコピーし万全のバックアップ体制を取っております。
お客様自らが会計データを他のソフトにコピーすることはとても非効率です。
日常の税務、会計の相談以外にも、
データ管理の観点からも税理士と顧問契約を締結することは有効
であると考えます。
定期的なデータのバックアップのすすめ
えびな税理士事務所では、これまでもクラウド会計ソフトを使用していても、定期的にcsvなりPDFで会計データ(仕訳帳、総勘定元帳)を、パソコンのローカルディスクやオンラインストレージ上に保管することをおすすめしておりました。
例えば、こんなときどうしますか?
・クラウド会計ソフトのベンダーが倒産した
・会計データを保管されているサーバの周辺で自然災害にあった
こんな現象が起こったとき、過去の会計データには永久にアクセスすることができなくなります。
決算ごと、災害が起こったときは特に、また、できたら3か月なり半年なりに一度、会計データをバックアップしておくことをおすすめします。
最悪の事態が起こったときも、税理士が助けてくれるかもしれません。
税務署は助けてくれない
クラウド会計ソフト側に不測の事態が起こったとき、税務署は何をしてくれるか。
答えは基本的に「何もしてくれない」です。
たとえ、申告期限間際にデータへアクセスできなくなっても税務署は何も助けてくれません。
税務署が助けてくれる(申告期限を延長してくれる)のは、自分の周りで自然災害が起こった時くらいでしょう。
データ(総勘定元帳)がないまま税務調査にあたると、青色申告の取消し、いった不利益を被る可能性もあります。
【注意喚起】繁忙期はもっと危ないかもしれない
実は、freeeにおいては、毎週月曜日に送信されるウィークリーメールについて、2018年10月29日の月曜日においては通常の週より配信が遅く、30日の火曜日にまたがるお客様もいらっしゃいました。
税理士業界の10月は閑散期なので、freee側としてはシステムメンテナンス等を行っていたのかもしれません。
でも、この調子でこれからの繁忙期(個人の確定申告は1-3月、3月決算の法人の確定申告は4-5月)は大丈夫なのか?という疑問を持たざるを得ません。
申告期限間際に取り返しの利かない大きな問題が発生するかもしれません。
知らないうちにデータの全部または一部が破損するかもしれません。
freeeにおいては、不具合の修正が追い付かないとサポートが認めています。他の会計ソフトのベンダーはこんなことを言いません。
もはや何が起こるか誰にも分からない会計ソフトなのです。
少なくとも税理士業界で、この顛末を温かい眼差しで応援する気持ちになる人はいません。
動きが遅く(確定申告時期はさらに遅くなります)、クリックしても表示されない、8月を押したのに7月の内容が表示されるなど、日によって挙動が全く異なり、会計ソフトとして不安定すぎて、お客様におすすめできる状況にないのです。
ユーザーの皆様においても、今後のfreeeの動作を注視し、ご自身でリスクを認識して使用する必要があります。
えびな税理士事務所では
この使い方で大丈夫?いった疑問にお答えするクラウド会計判定サービスや、
freeeから他ソフトへのデータ移行サービス(変えるのでしたら年末を待たずに今行うことをおすすめします)をご提供しております。
これまで20種の会計ソフト・税務申告ソフトの使用実績を有する税理士が、豊富な経験を踏まえお客様の最適な運用方法をご提案しております。
友人・知人の評価が、このページをご覧の方々にとって最良とは限りません。
経験豊富な税理士によるアドバイスを是非ともご活用ください。
クラウド会計コラム⑬~クラウド会計ソフトの安定性~
東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
当事務所においては、代表的なクラウド会計ソフトであるマネーフォワードクラウドとfreeeを使用しています。
その長所を認めながらも、重大なリスクや機能として不十分な点が多いことを発信しています。
(参考)クラウド会計コラム⑤~クラウド会計は会計の知識のない人向けというけれど~
えびな税理士事務所は、クラウド会計ソフトの機能面、安定性について日々注視しております。
安定性という点では、「いつも」「変わりなく」「動作すること」が重要です。
その点、毎週月曜日に届く
「ウィークリーメール(マネーフォワードクラウド)」や「先週のレポート(freee)」が
確実に届くか、何時に届くかを注視しています。
レポート機能の内容
先週の取引や、口座残高、収入金額、支出金額が表示されます。
本当のところは売上の金額等も知りたいところですが、そもそも仕訳を登録していないと売上の金額がレポートに反映されないので、レポートの内容としては、入出金が自動で同期される口座に関する情報がメインになるのでしょうね。
レポートが届く時間
えびな税理士事務所は、マネーフォワードクラウド、freeeのクラウド会計ソフトを使用しており、毎週月曜日にレポートが確実に届くかを確認し、クラウド会計ソフトの安定性をチェックしています。
それぞれのクラウド会計ソフトのお客様の数や規模は異なりますが、過去数か月のレポートメール受信時間(gmailを使用)はおおむねこんな感じです。
マネーフォワードクラウド 午前中
freee 昼前(11時半くらい)~夜(20時過ぎ)
当事務所においては、マネーフォワードクラウドの方が、早く、かつほとんど受信時間に前後なく届く傾向があり、freeeについては届く時間がバラバラ(同じお客様についても週によってバラバラ)の傾向がありました。
レポート作成の負荷やサーバの都合もあるでしょうから、すべてのユーザーに同時配信とはいかないのでしょう。
ユーザー登録をしているものの全く使用していないユーザーには遅く、毎日使用しているユーザーには早く、といった運用をしているのかもしれませんが、実際のところは分かりません。
それにしても先週のレポートが夜に届くのは、レポートというにはタイムリーでないですね。
20時を過ぎたら多くの事業主は営業時間が終わっています。
突然「先週のレポート」が届かなくなった
当事務所において、freeeの「先週のレポート」が何の前触れもなく6月6日(月)を最後に途絶え、9月17日(月)に再度送信されるという事象を確認しました。
レポートの有無で業務に重大な影響を及ぼさないと判断し、freeeの出方をうかがうため、こちらからはあえてアプローチせずにいました。
再開後もfreeeから何の連絡もなかったため、当方から理由の説明を求めています。
どうやら複数のユーザーで同様の現象が起こっているようです。
追加の情報をこのページでお伝えします。
(9/26追記)
サポートからの回答を読んだところ、事象が解消した旨の記載はありましたが、原因については「何らかの原因」としか記載しておらず、原因の追及を行っていないようでした。
また、「不具合発生時の対応に追い付いていない」との回答があり、日常的にバグの修正に追われているようです。
弥生会計等インストール型会計ソフトにおいては基本的にバグ修正のお知らせはありませんから、大変危険な会計ソフトであると評価せざるをえません。
「個別事象の場合、不具合が発生したユーザーの特定が困難である」との回答もあったことから、例えばお客様だけ仕訳が全く登録されないという事象が起こった場合も何らリカバリーがされない危険性すらあります。
クラウド会計ソフトベンダーの品質保証体制
今回の一件を含め、欠陥を指摘する際はサポートに連絡することになります。
食品会社等、消費者がよく接する業界のサポート対応は、最初から最後まで低姿勢に
1に「ごめんなさい」
2に「事実の確認と原因の説明」
3に「再発防止策」
最後に、もう一度「ごめんなさい」が定番ですが、
クラウド会計ソフトのベンダーは、
1に「ごめんなさい」
2に「修正したことの報告」→理由の説明をしません
3を飛ばして、
最後に、「今後の開発にご期待ください」
といった信じられない言葉で締めくくります。
一歩間違えればお客様の命を落としかねない食品製造業の工場の厳しい現場で品質管理部門に勤務していた税理士からみると、品質保証部門が機能していない(もしくは存在しない)ことの証左です。
貸借不一致仕訳が登録されるという、会計ソフトとしてありえない欠陥を周知しないこともあったことから、クラウド会計ソフトベンダーはまだまだお客様を甘くて見ていると断じざるを得ません。
このような企業姿勢のクラウド会計ソフトベンダーから身を守るのはお客様ご自身です。クラウド会計ソフトの良い点悪い点を熟知した税理士のサポートを受けることをおすすめします。
クラウド会計コラム⑫~データバックアップのすすめ~
東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
2018年は豪雪に始まり、この夏も台風や地震など、全国各地で災害が相次いでおります。
被災地の早期の復興を祈ってやみません。
災害から自分の命を守る方法については他のページに譲るとして
今回は、災害とクラウド会計ソフトの関係について考えましょう。
データは自分のパソコンの中にはない
クラウド会計ソフトで苦労して入力したデータは、自分のパソコンの中にはありません。
インターネットに接続して、クラウド会計ソフトのベンダーのページから、
ベンダーが保有するサーバにアクセスして、データにたどり着くことになります。
こんなことが起こったら、会計のデータはどうなるか想像できますか?
「災害でサーバがダウンした」
「ベンダーの経営に不測の事態が生じた」
もう少し具体的に、これまでのところ幸い現実となっていませんが、
「北海道胆振東部地震で起こったような停電が長期間に渡ったら」
「ベンダーに致命的な不祥事が発覚したら」
もしかしたら、会計データがなくなってしまうかもしれません。
二度と会計データを見ることができなくなるかもしれません。
残念ながら、税務署も金融機関も会計データがなくなっても基本的に会計データについては何も考慮してくれません。
税務署への申告書については、大規模な災害の場合は申告期限を延長されることはあります。
その際も、会計データについては失ったらもう一度作り直し、ということになります。
会計データはあくまで自分で守らなければいけないのです。
会計データは自分で守る
定期的にクラウド会計ソフトからデータを取り出し、会計データを自分で守りましょう。
毎年、1年分(3月決算の法人なら4月から3月まで、個人なら1月から12月)の
・総勘定元帳(PDF)
マネーフォワードクラウドの場合、「会計帳簿」→「総勘定元帳」→「エクスポート」「PDF出力」
・決算書(PDF)
マネーフォワードクラウドの場合、「決算・申告」→「決算書」→「エクスポート」「決算書一括出力」
・仕訳帳(csv)
マネーフォワードクラウドの場合、「会計帳簿」→「仕訳帳」→「エクスポート」「csv出力」
もしくは、「各種設定」→「他社ソフトデータの移行」→「弥生会計」
多くの会計事務所が使用している弥生会計の形式でデータを保持することにより、不測の事態にも柔軟に対応することが可能になります。
を自分のパソコンにも保存しておきましょう。
その他、年の途中でも3か月ごと、半年ごとでもいいので、定期的に仕訳帳をcsvで取り出しておくことをおすすめします。
災害の備えに例えると、カードのほかに小銭も準備しておくことも大事、といったところでしょうか。
えびな税理士事務所のデータバックアップサービス
クラウド会計ソフトをご使用のお客様のデータは、えびな税理士事務所でも保管しています。
もし、お客様に不測の事態が生じた場合にも、迅速にリカバリーすることができます。
(お客様のお手を煩わせることはありません)
・総勘定元帳、決算書の控えを保管しています。
・総勘定元帳(1年分の仕訳を勘定科目ごとにまとめたもの)をPDF(ご要望により紙)により、お渡しします。
・1年分のデータをえびな税理士事務所内で従来の会計ソフト(弥生会計)にもコピーします
(これにより、会計帳簿の正確性を確認することもできます)
クラウド会計コラム⑪~クラウド会計ソフトで見るべき機能~
東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
クラウド会計ソフトをご使用のお客様より、
「このページの見方がよくわからない」
「損益をパッとみてわかるにはどうしたらいいのか」
「資金繰りはどこを見ればいいのか」
といった、機能面に関する質問を多く頂戴します。
そこで、今回は、クラウド会計ソフトのそのものの使用方法は置いておいて、
クラウド会計ソフトを使うにあたって持つべき心構えと、
それに関連して、税理士がよくみる帳票についてまとめてみました。
全部の機能を使いこなそうとしない
弥生会計といった従来の会計ソフトを使うにしても、クラウド会計ソフトを使うにしても、
大前提は
・正しい決算書を作成すること
・正しい税務申告を行うこと
の2点に尽きます。
クラウド会計ソフトは、請求書作成機能や人事機能と連動して売上関係や給与関係の仕訳を自動で作成する機能に加え、
登録された仕訳を基に、資金繰りレポート、損益レポートをグラフ化するといった機能をウリにしています。
会計機能がメインである従来の会計ソフトとは異なり、クラウド会計ソフトはメインの会計機能に、様々な機能が付随しており、その全てを使いこなすのは実は大変なのです。
日常の業務をこなしながら、これらの機能をひとつの間違いなく使いこなすのは困難です。
極端ですが、資金繰りレポートや損益レポートがどれだけ間違っていても、決算書と申告書が正しければ十分です。
ご自身が使わない機能、理解できない機能があればそちらは完全に無視してもいいと私は考えます。
といいますのは、税理士はこれらの機能の使用方法を全部理解していないから、というより理解する必要性すら感じていないからです。
でも、税理士が正しい決算書や申告書を作成するにあたって、必ず見る機能はあります。
グラフ化したレポートよりもまずはこれを見よ、という機能をまとめました。
月次推移表(特に「損益計算書」)
どうやって見るの?
マネーフォワードクラウド 「会計帳簿」→「推移表」→「損益計算書」タブ
freee 「レポート」→「月次推移」
クラウド税理士による解説
もっとも見てほしい帳票であり、税理士が一番よく見ます。
「毎月どれくらい売上があるのかな?」
「毎月どれくらい利益があるのかな?」
これが転じて
「決算はどれくらいになるのかな?税額はどれくらい?」
といった将来の予測にも役に立ちます。
税理士側は、毎月計上されている売上や費用が計上されているのかといった視点のほか、
決算が近づいたら消費税の納税義務のアナウンス(売上が多い場合)や
節税対策のご提案(利益が多い場合)といった、お客様へのサービスのご提供を考えます。
前期比較(特に「損益計算書」)
どうやって見るの?
マネーフォワードクラウド 「会計帳簿」→「前期比較」→「損益計算書」タブ
freee 「レポート」→「試算表」→比較「前期比較」
クラウド税理士による解説
「今年は去年よりも調子が良かった(悪かった)」
ということが分かります。
税理士側の視点では、去年はあったこの売上や経費が今年はある(ない)といった視点や
お金が増えた(減った)という財務状況の把握や、
経営状況が良くなっているのか悪くなっているのか、数字をもって把握することができます。
グラフでなく数字で
税理士は(金融機関や税務署も)、決算や経営成績をすべて金額(1円単位)をもって把握します。
決して資金繰りレポートや損益レポートのグラフが最終的な判断材料にはなりません。
もちろんグラフも直感的に把握するには大変有用でありそのメリットを否定しませんが、
これらは内部管理用の資料とお考え下さい。
税理士(金融機関や税務署も)が必要な情報はあくまで1円単位の金額なのです。
もっとも、そのグラフ機能も会計帳簿から連動して作成しており、
バグが多いとの話もあるので、あまり信用しない方がいいかもしれません。
えびな税理士事務所では
弥生会計やクラウド会計ソフトから出力された資料を基にご説明することはしません。
お客様のニーズに合わせて、見やすいフォントで、A4用紙1枚のオリジナルレポートにて
お客様に十分な説明を行います。
お葬式のような明朝体の白黒の試算表や決算書をご提示することはございません。
クラウド会計コラム⑩~クラウド会計ソフトの比較表公開~
東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
これまでクラウド会計ソフトの長所・短所や、それぞれのクラウド会計ソフトの特長を発信してきました。
今回は、代表的な会計ソフトについて、税理士海老名の実体験、同業者間の評判を正直ベースまとめてみました。
インストール型 弥生会計
クラウド型 マネーフォワードクラウド会計、freee
3種のソフトについて、比較してみました。
会計ソフトの名前は知っているけど、実際の評判はどうなの?といった方(新規事業主、ソフト乗り換え検討中の方など)のお役に立てれば幸いです。
税理士の探し方も使う会計ソフトによってちょっとばかりコツが違います。
弥生会計を使いたいときの税理士の探し方
多くの会計事務所で使用していますので、
弥生会計のホームページではなく、ご近所の会計事務所のホームページの印象等から判断して問い合わせるといいかと思います。
マネーフォワードクラウド会計、freeeを使用したいときの税理士の探し方
若手の会計事務所では広まりつつありますが、まだ広く普及していないのが現状です。
(税理士間の肌感覚では、最近はfreeeからマネーフォワードクラウドへ移行している税理士が多そう、だけど弥生会計のままが多いというのが共通認識です)
そこでベンダーホームページに税理士紹介をアクセスするわけですが、掲載されているのはクラウド会計ソフトを使用している一部の税理士のみです。
上の方に掲載されている税理士(=顧客が多い)ほど、無資格職員による担当(知識がない、すぐに退職される)になったり、細やかなサービスを受けられなかったりする可能性があります。
クラウド会計ソフトを使っていても、対面で操作方法や税務について質問したくなる場面が必ず生じます。
「自宅の地名」「名所旧跡」「税理士」「クラウド会計」「若手」といった検索ワードで税理士を検索されると
ご自身のニーズにあった税理士を見つけれることができると思います。
えびな税理士事務所は、「目黒雅叙園」「目黒不動尊」「西五反田」「品川」といった名所旧跡、地名と「クラウド会計」といった検索ワードで、上位に表示されます。
クラウド会計コラム⑨~東京税理士会定期総会での情報発信~
東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
クラウド会計ソフトのユーザーは現在も増え続けています。
クラウド会計ソフトの各ベンダーが自社の優位性を訴えておりますが、
その一方で、確定申告を行う納税者の方々にとって危険な事象も多く存在します。
今年もクラウド会計ソフトを利用した多くのお客様の確定申告書の作成及び申告をさせていただきましたが、
従来のインストール型会計ソフトでは見られない欠陥や会計処理の誤りを目の当たりしました。
そこで、2018年6月18日開催の東京税理士会の定期総会にて、若手クラウド税理士の海老名がクラウド会計の現状について情報提供するとともに質問をしてきました。
クラウド会計は適切に使いこなさいとこれだけ危ない
クラウド会計は上手に使うと経理業務が格段に効率化しますが、使い方を誤ると大損を被りかねません。
例えば、こんな現象が現実に起こっています。
でも、ベンダー側はこのような不都合な真実を決して明かそうとはしません。
1 売上や経費が2倍になる現象
請求書機能と会計機能の双方を適切に使いこなせなかったことによる事象です。
同一の取引に対して、請求書機能から掛売上、入金時に現金売上の2回売上が計上されてしまう現象が、クラウド会計ソフトには実に多いのです。
適切に修正しないと、売上が2倍→税額が2倍なるだけでなく、2年後に誤って消費税を納付してしまうこともあり得ます。
(参考記事)クラウド会計コラム④~クラウド会計ここが危ない~
2 消費税の帳簿要件を満たさない危険性
カードとの連動→勘定科目自動学習は便利な機能ですが、備考欄に「どこから」「何を買ったか」を記載しないと、税務調査時に消費税を余計に納付することになる危険性があります。
(参考記事)クラウド会計コラム①~クラウド税理士の視点~
3 貸借不一致仕訳が登録される現象、重大な欠陥を放置しユーザーに注意喚起しない企業姿勢
ベンダーが「致命的な欠陥」と認めながら、ユーザーにも税理士にも一切情報を開示しようとしません。
1年以上前から事象を把握しているにも関わらず、すでに登録された貸借不一致仕訳を除去する措置やユーザーへの注意喚起を一切行っておらず、極めて悪質性が高いと考えます。
(参考記事)クラウド会計コラム⑧~クラウド会計に向いている人、向いていない人~
東京税理士会への質問の内容
(情報提供)
1 2018年6月、税理士海老名が使用したある有名クラウド会計ソフトで、貸借不一致の仕訳が登録されたまま、差額を貸借対照表上で無理やり一致させるという会計常識では信じられない現象があった。
2 この現象に気付かず申告してしまった税理士や納税者がいたと思われる。
3 ベンダーに確認したところ、1年近く前からこの現象を把握しており致命的な欠陥であると認めている。
4 それにも関わらずベンダーはユーザーに一切注意喚起をしていないことから、極めて悪質性が高いと考える。
(質問)
1 東京税理士会ではクラウド会計ソフトの中にはこのような重大な欠陥が存在すること、また、クラウド会計ソフトは発展途上ということを認識しているか。
2 発展途上であると認識しているなら、税理士への情報提供、周知といったアプローチのほか、重大な欠陥についてはソフト名を明示して、現象を注意喚起するといった活動を行っていただきたいが、その予定はあるか。
(要望)
税理士の業務にも影響が大きく、税理士ひいては納税者へ被害が広がらないよう是非周知を行っていただきたい。
東京税理士会情報システム部の回答
現在、クラウド会計については税理士会の支部巡回研修で対応している。
クラウド会計のベンダーは多く、税理士や納税者は適正なベンダーを選択することが必要と考える。
東京税理士会に会員から提供された情報で発信すべきものがあれば、文書またはホームページで発信する。
指摘されたような悪質な業者については、業務対策部とも相談して適切に対応する。
申告書の作成、日常からの会計帳簿の確認は税理士の活用を
クラウド会計ソフトも様々で、それぞれに特長があり、また、欠陥もあります。
現在のクラウド会計ソフトのクオリティでは、税理士抜きで会計帳簿を作成し、申告書を提出するのは危険と言わざるを得ません。
(税務署との間のやりとりにおいては、「後で直せばいいや」、と簡単には行きません)
確定申告書の作成に加え、日常の会計帳簿についても税理士との間で月次契約を締結し、レビューしてもらうことをおすすめします。
これからも情報発信を続けます
東京税理士会の執行部の方々には、ひとりの若手税理士の声に真摯に耳を傾けていただきました。
今回の定期総会は、東京税理士会会長、日本税理士会連合会会長、各税理士会会長を含む、500人程度の税理士が出席しており、クラウド会計ソフトの現状について全国へ広く周知することとなりました。
「貸借不一致」のワードが出た瞬間、執行部の方々のペンが一斉に動き、クラウド会計ソフトの対する関心が高いことを伺えました。
さらに、来賓として東京国税局局長(東京都等1都3県の税務署を束ねるトップ)、東京主税局局長(都税事務所のトップ)も同席していましたから、この情報が現場レベルまで知れ渡ることになり、税務調査等に影響を及ぼすかもしれません。
今後も、納税者の方々だけでなく、税理士にも積極的に情報を提供してまいります。
クラウド会計コラム⑧~クラウド会計に向いている人、向いていない人~
東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
えびな税理士事務所も開所後1年が経過し、クラウド会計ソフトの導入を検討中の様々なお客様とお話をしてきました。
導入にあたってはもちろん全力でサポートしますが、中にはクラウド会計ソフトを入れなくてもいいのでは、と感じるような方にも出会ったのもまた事実です。
今回は、クラウド会計に向いている人、向いていない人、の私見をまとめてみました。
クラウド会計に向いている人
ひとり事業主で、まずは全部自分でやってみる、という考えの方
売上と経費の請求書しかないから、まずは一人でやってみようというマインドの方にはおすすめします。
複雑な仕訳もありませんし、そのようなやる気のあるお客様に対しては税理士も丁寧に教えてくれます。
いわゆるマメな方
こまめに入力していますので、月次の損益や決算見込みといったことにも興味を持つようになります。
税理士側としても、節税提案や分析といったところに時間を割くことができ、よりよい話し合いができるようになります。
ITスキルの高い方
会計ソフトの仕訳入力画面でなくても、Excelのフォーマットに記入し、
クラウド会計ソフトへインポートする方法で簡単でストレスフリーで経理を行うことが可能です。
Windowsのショートカットキー(Ctrl+Shift+方向キー、Ctrl+Enter、Ctrl+D程度でOK)を日常から使用している方には、特におすすめします。
クラウド会計に向いていない人
クラウド会計ソフトを入れたから、あとは会計事務所に丸投げ
という方は、クラウド会計ソフトを導入する必要はありません。
従来の会計ソフト(弥生会計など)を使っている会計事務所の方が圧倒的に多いですから、
記帳代行を求める方は素直に弥生会計を使っている会計事務所に依頼した方がよろしいかと思います。
クラウド会計ソフトは、税理士を紹介してくれるのでしょ?と思っている方、そこにはワナがあります。
仕訳数が多い方
クラウド会計ソフトは、銀行口座やカード明細の同期機能がウリではありますが、
自動仕訳だけですべての会計処理を完結するレベルにはまだ達していません。
また、インターネット環境により会計処理を行うため、どうしても速度が遅く、特に確定申告時期はかなりのストレスを感じて作業を行うことになります。
なお、クラウド会計ソフトは会計ソフトとしては後発のため、信じられないバグが現在も発生しています。
(まだまだバグが多いです)
税理士や公認会計士なら、いや簿記3級勉強中の方でもびっくりすることですが、
借方の金額と貸方の金額が一致しない仕訳が登録されるという現象をfreeeで確認しました。
(借方)?? (貸方)現金 20,000円 のような仕訳(「貸借不一致」といって、本来は仕訳が登録されません)が登録されてしまうのです。
freeeの「振替伝票」作成機能ではなく、Excelのインポートや仕訳のコピーといった機能から仕訳を作成しようとすると起こる現象と思われます。
現在の機能では、膨大な仕訳の中から貸借不一致の仕訳を見つけ出すのは困難です。
下手をすれば、決算の時も気づかずに申告、といったことも起こります。
これは決算書の信頼性の関わるかなり重大なバグなのですが、サポートに問い合わせたところ、「原因は不明」で「開発に対応依頼中」とのことでした。
(→その後、問い詰めたところ1年近く前からこの現象を把握していたことが明らかになりました。)
サポートの発言した「今後の開発に期待してください」というレベルの問題ではありません。
言い方が辛いですが、「Web屋が作った会計ソフト」の域から未だに脱していません。
①「致命的な」バグでも、ユーザーに明らかにしない企業姿勢
②重大なバグでも、申告期限日直前でも3営業日しないと回答しないサポート体制
③営業担当者の電話や能力の低いサポート担当者の稚拙な対応で済まそうとする品質保証体制
税理士抜きでこのようなクラウド会計ソフトを使うと、申告書を提出した後に不利益を被る危険性あると考えます。
クラウド会計ソフトの使用に慣れた税理士に、決算処理を依頼することをおすすめします。
1年に1回まとめて仕訳を入力する方
ひとり事業主できっちりしている方でも案外多いです。
預金口座を同期するわけでもなく、レシートの仕訳を入力することもなく、一度決算が終わるとほぼ1年手つかずになります。
その間にも、クラウド会計ソフトの月額の使用料を払うことになります。
クラウド会計ソフトのメリットをほとんど享受していません。
一度支払いを止めて、決算の時だけ支払再開、とした方がいいでしょう。
従業員が多い方
クラウド会計ソフトと人事労務機能がリンクさせていますが、これが結構クセ者です。
「等級」といった用語をご存知でないのなら、クラウド会計ソフトを導入しない方が無難です。
多くの場合は、「預り金」勘定、「法定福利費」勘定が、収拾がつかないほどぐちゃぐちゃになっています。
クラウド会計コラム⑦~税理士紹介サービスのワナ~
東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
複数のクラウド会計ソフトには税理士紹介サービスがあります。
例えば、「事業を開始してクラウド会計ソフトを使いたい。だけど会計や申告は初めてだからひとりで全部こなすのは無理」というスモールビジネスの事業主の方が、
クラウド会計ソフトのホームページにある税理士紹介サービスに申し込み、何人か税理士を紹介を受けるわけです。
ところが、その紹介サービスで紹介された税理士とうまくコミュニケーションが取れなくて、相談や見積もりにすら至らなかった、というお客様が多くいらっしゃいます。
そこで、クラウド会計ソフトにおける税理士紹介サービスについて、若干の考察をしてみたいと思います。
税理士紹介サービスで紹介される税理士とは
クラウド会計ソフト会社からみて「ありがたい」税理士とは、そのクラウド会計ソフトを使用しているお客様を多く抱えている税理士です。freeeでいうと税理士検索ページでより上に掲載される、星が多い税理士です。
クラウド会計ソフト会社は、お客様に対して星が多い税理士「事務所」を紹介することになります。
逆に、そのクラウド会計ソフトを使用しているお客様が少ない税理士を紹介することはありません。
その紹介された税理士「事務所」。「事務所」ですので税理士のほか複数の無資格職員がいるかもしれません。税理士が直接対応するとは限りません。
「誤字脱字だらけのメールが来た」「連絡がいつまでたってもこない」という場合には、こんな可能性があります。
・税理士ではなく(大きな声では言えませんが、ビジネススキルの低い)職員が対応していた
・お客様が増えすぎてお客様を紹介された事実すら税理士事務所側で認識できなかった
・クラウド会計ソフト会社からのお客様を紹介する旨のメールが「迷惑メール」に分別された
・お客様が提示した予算が低すぎて無視された
お客様を多く抱えているということは、税理士だけでなく無資格の職員がいないと事務所が成り立ちません。
事業を開始したてのスモールビジネスの方が、税理士紹介サービスに税理士による直接対応を期待するのは難しいかもしれません。
自分でインターネット上で探すのも手
税理士海老名がお客様から伺った話も合わせて推測しますと、クラウド会計ソフト側が紹介の対象とする税理士は実はあまり多くないと思われます。
クラウド会計ソフトの税理士検索ページに掲載されていない税理士の方が実はこまめに対応してくれて、お客様にとって最善の税理士であることがあります。
事業を開始してまもない事業主様にとっては、税務申告だけでなくクラウド会計ソフトの使い方や税務関係の細々した届出まで世話してくれる税理士と顧問契約を締結するのが最善です。
事務所の近所で、まだお客様を多く抱えていない、開業して間もない若手の税理士が、お客様にとって一番いい税理士だったりします。
そのような税理士はホームページを開設しているものの、アクセス数がなかなか上がらずお客様の確保に苦労しています。
「事務所所在地+クラウド会計」「事務所近辺の名所旧跡+クラウド会計」などといった検索から、自分に合いそうな税理士を探してみてはいかがでしょうか。
ちなみに「事務所所在地+税理士」などで検索すると、どうしても規模の大きい税理士事務所が検索の上位になりがちです。
小回りの利く若手の税理士事務所をお探しでしたら、「若手」「クラウド会計」などのキーワードが有効です。
えびな税理士事務所は「目黒雅叙園」「目黒川」「目黒不動尊」といったキーワードには上位に表示されます。
えびな税理士事務所では
えびな税理士事務所は所員は税理士の海老名のみですので、お問い合わせを確認するのも、お問い合わせに返信するのも、ご対面により相談するのも、すべて税理士である海老名です。
お問い合わせに対してはひとつひとつ海老名自ら文章を作成しています。
お客様にとって最善の税理士が見つかるよう、インターネットには書いていない裏話を含めた正直ベースでお話しします。
ご契約後も電話は海老名自ら出ます。保留音でお待たせすることはありません。メールにも海老名が直接回答します。
クラウド会計コラム⑥~法人設立1年目こそ税理士への依頼が大切~
東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
法人の初めての決算は、税理士の関与が必須です。
個人のときは自分で確定申告書を提出できたから、法人でもひとりで申告までできるはずと思ったけれど、いざ申告になると手も足も出ない、という法人設立1年目のお客様から問い合わせが相次いでおります。
法人を設立したばかりの初年度こそ、設立当初から税理士の関与が必要であると考えます。
お客様のお話を伺ったなかで、ここでつまづいていると思われることをまとめてみました。
(簡単)開業関係の届出
事業開始届、青色申告承認申請書等々、税務署、社会保険関係の届出提出する書類は何種類にも及び、大変な手数がかかります。
最近は開業freeeなどで簡単にこれらの書類を作成できるので、案外クリアされている方が多いです。
どのお客様も紙に出力し税務署へ出向いて提出していますが、税理士に依頼すると電子により届け出ますのでお客様が税務署に足を運ぶ必要はありません。
(やや難)会計関係の初期設定
これが簡単なようで結構大変です。
いつもクラウド会計を使っている税理士なら、こんなことにも迅速に対応してくれます。
・初期残高の設定
「開業費」「創立費」といった法人設立1年目で必ずお目にかかる勘定科目。
でも、どこからどこまで?これもいいのかな?などなど、分からないことをインターネットで調べますがお客様それぞれの事情に沿った答えは意外と少ないものです。
・無駄な勘定科目の非表示設定
スモールビジネスの方にとって、使う勘定科目はあまり多くありません。
しかし、どの会計ソフトも初期設定ではご丁寧に「繰延税金資産」に「法人税等調整額」といった税効果会計の勘定科目や「船舶」「土地再評価差額金」といった税理士でも一生に接しないかもしれない勘定科目が表示されるようになっています。
使いやすい画面にするためにはひとつひとつ非表示設定する必要あり、これが結構な手間です。
(やや難)入力のしかた
クラウド会計ソフトの本画面上でも仕訳を入力できますが、実はそんなに効率のいい方法ではありません。
Excelのテンプレートで楽に入力し、クラウド会計ソフト側にインポートする方法があります。
クラウド会計ソフトのヘルプを見るよりも、税理士に聞いた方が楽ですよ。
(難)役員報酬の決め方
法人を設立した多くの方は、法人に入金されたお金をできるだけ多く個人に流したいと考えています。
そこで、法人から個人へ給与(役員報酬)を支給するわけですが、(正確な表現ではありませんが)役員報酬を支給するときは1年を通して同額を毎月帳簿上も費用として計上しなければなりません。
・いくらにするのか
・いつ支給するのか
・資金繰りが厳しいので支給しないときはどうするの?
・源泉所得税の扱いは?
・役員でない奥様に給与を支給したいのだけどいくらにしたらいいの?
・給与ソフトはどれがいいの?
といったクラウド会計ソフト側の都合だけでない事柄がいくつもあります。
このような疑問に対しても、税理士でしたらすぐお答えすることができます。
(注意)普通預金、クレジットカードの同期設定
クラウド会計ソフト側で丁寧に説明しているため設定自体は簡単にできます。
しかし、そこには落とし穴がたくさんあります。
税理士海老名が関与し始めたお客様にはこんな方がおりました。
・同期設定はしたけど、なぜかある月がまるまる同期されていない
・売上や費用が2倍計上されてしまう
・法人なのに個人カードも同期してしまい、債務が雪だるま式に増える
同期機能はクラウド会計ソフトの強みでもあり弱みでもあるのです。
このような事象については日ごろから「残高試算表」「月次推移表」を見て察知するわけですが、会計についての少々の知識が必要です。
会計知識があまりなくても大丈夫、というのをクラウド会計ソフト会社側は売りにしていますが、ノーガードだと痛い目に遭うかもしれませんよ。
(難)1月の書類ラッシュ
個人の時代には見たことのない、年末調整、給与支払報告書、法定調書合計表、償却資産税申告書の提出や源泉所得税の納付(7-12月分)が1月にどっとやってきます。
見たことのない書類がたくさん入った封筒が税務署や都税事務所から送られてきますが、初めて見る方にとっては何を言っているのかさっぱりわからないはずです。
法人設立までは個人事業主だった場合は、個人所得税の申告もあるので、結構な事務工数を要します。
(難)決算対策
決算日が近づくと
・事業好調の場合、消費税の納税義務(年換算で課税売上高1,000万円に行くかどうか)
・節税対策(例えば、中古で車を買おうかなど)
・納税予測
といったことを考えなければなりません。
しかし、決算日を過ぎてからだと有効な対策を講じることはできません。
えびな税理士事務所では
クラウド会計ソフトがあるから楽、安心、と思いきや1年を通して関門がいくつもあります。
新規開業した方向けに格安でサービスを提供する会計事務所は多くございますが、無資格者による担当(離職率が高くすぐに変わる)、決算以外対応してくれないなどのデメリットもございます。
えびな税理士事務所では税理士である海老名自らが、開業当初の初期設定、期中の処理、税務申告まで、1年を通して丁寧に対応します。
クラウド会計コラム⑤~クラウド会計は会計の知識がない人向けというけれど~
東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
当事務所にはクラウド会計を使用したいというお客様から多くのお問い合わせを頂戴しております。
HP経由での問い合わせが多く、自分で経理や確定申告までできるようになりたいという意欲的なお客様ばかりで、こちらとしても大変刺激になります。
クラウド会計を売りとする税理士海老名は、クラウド会計の動向を日々チェックしております。
これまでの勤務経験から、クラウド会計ばかりでなく、従来のインストール型ソフトも数多く使用しており(20種程度の使用経験がございます)、これらのソフトの長所、短所を把握しております。
インターネットにあふれるクラウド会計に対する考え方を拝見しているとそのとおりと感じる意見が多くありますが、特に専門職でない方(起業家の方に多い)の考え方に対しては「大丈夫?」と思うことが多くあります。
そこで、クラウド会計に対してよく言われることについて税理士海老名の考え方をまとめてみました。
いつまでも会計知識がなくていいわけがない
クラウド会計は会計知識がなくても直感的に処理できるから問題ない、楽に確定申告ができると様々な方が仰っています。
開業したての頃はそれで問題ないかもしれません。でも、事業が軌道に乗ると様々な場面に遭遇します。
・金融機関からお金を借りたい
・人を雇おうか
・取引先から決算書の提出を求められた
そんなときに、売上がいくら、利益がいくら、未入金の金額がいくら、未出金がいくら
といった情報を損益計算書(PLと略されます)や貸借対照表(BSと略されます)
から読み取って、
・いくら借入れるのが適当か
・人を雇うにはいくら売り上げなければならないのか
といった金額を自ら計算しなければなりません。
資金を借り入れるときは将来の事業計画を数字を基に金融機関に説明する場面も生じます。
ビジネスの共通言語である会計用語を最低限理解した上で、「うちの決算はこうなんです」と説明できないと恥ずかしい思いをしますよ。
いつまでも子供では困るのです。
丸投げ、クラウドで楽することの危険性
税理士にレシート、領収書を丸投げすることはよくあります。
開業当初は少しでも多く売り上げて事業を軌道に乗せるのが第一なので、そのやり方は正しいです。
でも、そのやり方を長く続けるのは危険と言わざるを得ません。
家族経営の会社では特によくあることで、税理士に会計を任せっきりが10年20年と続いたため
創業者はともかくご子息が数字に対してまったく関心がない、赤字決算でも会社がどれくらい危険なのかまったく理解できない状況が生まれます。
正直に申し上げて、お金に関して社会人として恥ずかしいレベルのビジネススキルしか持ち合わせていない(バイトの店長のほうが優秀)
他の組織ではまるで役に立たない人間が出来上がります。
会計のすべてを理解せよとは申し上げるつもりは毛頭ございません。
でも、せめて売上、利益、債権、債務をPL、BSから読み取って、自分の会社がどんな状態かくらいは独力で理解してほしいのです。
ですから、開業当初から簿記はわからなくてもレシートをExcelのフォーマットに入れて経費の感覚を身に付ける、
前年対比でどうだったっけ?と帳簿を見るといったちょっとした習慣を身に付けるのが極めて重要と考えます。
クラウド会計が普及しても、その基礎となる会計理論は何も変わりません。
作業は楽になってもPL、BSを読み取るといった、計数感覚の必要性はこれからも不変なのです。
「楽」と「正確さ」は別物
クラウド会計は口座の自動同期、自動仕訳があるから安心、楽だから、確定申告が税理士抜きで楽に終わると仰るかもしれません。
でも、楽して作ったその会計帳簿、確定申告書は、プロである税理士から見るともうめちゃくちゃという場面がとても多いのが現実です。
簿記検定を取得していて経理経験のある方がクラウド会計を使用して作成した帳簿ですら、税務申告、金融機関への提出に堪えうる正確な帳簿に程遠い場合があります。
× 請求機能をうまく使いこなしていないため、本来の2倍売上が計上された
× カードの同期機能と仕訳機能を理解していないため、本来の2倍3倍の経費が計上された
× 法人の会計で個人名義のカードを同期したため未払金残高が雪だるま式に膨れた
これは、借方、貸方といった簿記の知識があれば気付いて修正できるのですが、楽を求めるととこれらの現象に気付くことができません。
最低限の会計知識を持ち合わせず「楽」を求めすぎると、将来、金融機関や税務署に説明を求められたとき、冷や汗をかくことになりますよ。
えびな税理士事務所では
当事務所ではインストール型会計ソフト、クラウド会計ソフトの双方を使用しております。
ご対面の際は従来のインストール型ソフトとクラウド会計の特長と長所・短所を実際に使用しているプロの税理士の目線から裏話も含めてお伝えし、どの会計ソフトを使用するかご判断いただいております。
ITリテラシー、事業の方向性、ご本人の意向を総合的に判断し、最適な会計ソフトをご提案します。
当事務所と契約に至らない場合でも、今後の事業の役に立つようなインターネットに載っていない情報をお伝えします。
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