クラウド会計コラム⑤~クラウド会計は会計の知識がない人向けというけれど~

東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。

当事務所にはクラウド会計を使用したいというお客様から多くのお問い合わせを頂戴しております。

HP経由での問い合わせが多く、自分で経理や確定申告までできるようになりたいという意欲的なお客様ばかりで、こちらとしても大変刺激になります。

クラウド会計を売りとする税理士海老名は、クラウド会計の動向を日々チェックしております。

これまでの勤務経験から、クラウド会計ばかりでなく、従来のインストール型ソフトも数多く使用しており(20種程度の使用経験がございます)、これらのソフトの長所、短所を把握しております。

インターネットにあふれるクラウド会計に対する考え方を拝見しているとそのとおりと感じる意見が多くありますが、特に専門職でない方(起業家の方に多い)の考え方に対しては「大丈夫?」と思うことが多くあります。

そこで、クラウド会計に対してよく言われることについて税理士海老名の考え方をまとめてみました。

 

いつまでも会計知識がなくていいわけがない

クラウド会計は会計知識がなくても直感的に処理できるから問題ない、楽に確定申告ができると様々な方が仰っています。

開業したての頃はそれで問題ないかもしれません。でも、事業が軌道に乗ると様々な場面に遭遇します。

・金融機関からお金を借りたい

・人を雇おうか

・取引先から決算書の提出を求められた

そんなときに、売上がいくら、利益がいくら、未入金の金額がいくら、未出金がいくら
といった情報を損益計算書(PLと略されます)や貸借対照表(BSと略されます)
から読み取って、

・いくら借入れるのが適当か

・人を雇うにはいくら売り上げなければならないのか
といった金額を自ら計算しなければなりません。

資金を借り入れるときは将来の事業計画を数字を基に金融機関に説明する場面も生じます。

ビジネスの共通言語である会計用語を最低限理解した上で、「うちの決算はこうなんです」と説明できないと恥ずかしい思いをしますよ。

いつまでも子供では困るのです。

 

丸投げ、クラウドで楽することの危険性

税理士にレシート、領収書を丸投げすることはよくあります。
開業当初は少しでも多く売り上げて事業を軌道に乗せるのが第一なので、そのやり方は正しいです。

でも、そのやり方を長く続けるのは危険と言わざるを得ません。

家族経営の会社では特によくあることで、税理士に会計を任せっきりが10年20年と続いたため
創業者はともかくご子息が数字に対してまったく関心がない、赤字決算でも会社がどれくらい危険なのかまったく理解できない状況が生まれます。

正直に申し上げて、お金に関して社会人として恥ずかしいレベルのビジネススキルしか持ち合わせていない(バイトの店長のほうが優秀)
他の組織ではまるで役に立たない人間が出来上がります。

会計のすべてを理解せよとは申し上げるつもりは毛頭ございません。

でも、せめて売上、利益、債権、債務をPL、BSから読み取って、自分の会社がどんな状態かくらいは独力で理解してほしいのです。

ですから、開業当初から簿記はわからなくてもレシートをExcelのフォーマットに入れて経費の感覚を身に付ける、

前年対比でどうだったっけ?と帳簿を見るといったちょっとした習慣を身に付けるのが極めて重要と考えます。

クラウド会計が普及しても、その基礎となる会計理論は何も変わりません。

作業は楽になってもPL、BSを読み取るといった、計数感覚の必要性はこれからも不変なのです。

 

「楽」と「正確さ」は別物

クラウド会計は口座の自動同期、自動仕訳があるから安心、楽だから、確定申告が税理士抜きで楽に終わると仰るかもしれません。

でも、楽して作ったその会計帳簿、確定申告書は、プロである税理士から見るともうめちゃくちゃという場面がとても多いのが現実です。

簿記検定を取得していて経理経験のある方がクラウド会計を使用して作成した帳簿ですら、税務申告、金融機関への提出に堪えうる正確な帳簿に程遠い場合があります。

× 請求機能をうまく使いこなしていないため、本来の2倍売上が計上された
× カードの同期機能と仕訳機能を理解していないため、本来の2倍3倍の経費が計上された
× 法人の会計で個人名義のカードを同期したため未払金残高が雪だるま式に膨れた

これは、借方、貸方といった簿記の知識があれば気付いて修正できるのですが、楽を求めるととこれらの現象に気付くことができません。

最低限の会計知識を持ち合わせず「楽」を求めすぎると、将来、金融機関や税務署に説明を求められたとき、冷や汗をかくことになりますよ。

 

えびな税理士事務所では

当事務所ではインストール型会計ソフト、クラウド会計ソフトの双方を使用しております。

ご対面の際は従来のインストール型ソフトとクラウド会計の特長と長所・短所を実際に使用しているプロの税理士の目線から裏話も含めてお伝えし、どの会計ソフトを使用するかご判断いただいております。

ITリテラシー、事業の方向性、ご本人の意向を総合的に判断し、最適な会計ソフトをご提案します。

当事務所と契約に至らない場合でも、今後の事業の役に立つようなインターネットに載っていない情報をお伝えします。

 

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