クラウド会計コラム⑧~クラウド会計に向いている人、向いていない人~

東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。

えびな税理士事務所も開所後1年が経過し、クラウド会計ソフトの導入を検討中の様々なお客様とお話をしてきました。

導入にあたってはもちろん全力でサポートしますが、中にはクラウド会計ソフトを入れなくてもいいのでは、と感じるような方にも出会ったのもまた事実です。

今回は、クラウド会計に向いている人、向いていない人、の私見をまとめてみました。

 

クラウド会計に向いている人

ひとり事業主で、まずは全部自分でやってみる、という考えの方

売上と経費の請求書しかないから、まずは一人でやってみようというマインドの方にはおすすめします。
複雑な仕訳もありませんし、そのようなやる気のあるお客様に対しては税理士も丁寧に教えてくれます。

 

いわゆるマメな方

こまめに入力していますので、月次の損益や決算見込みといったことにも興味を持つようになります。
税理士側としても、節税提案や分析といったところに時間を割くことができ、よりよい話し合いができるようになります。

 

ITスキルの高い方

会計ソフトの仕訳入力画面でなくても、Excelのフォーマットに記入し、
クラウド会計ソフトへインポートする方法で簡単でストレスフリーで経理を行うことが可能です。
Windowsのショートカットキー(Ctrl+Shift+方向キー、Ctrl+Enter、Ctrl+D程度でOK)を日常から使用している方には、特におすすめします。

 

クラウド会計に向いていない人

クラウド会計ソフトを入れたから、あとは会計事務所に丸投げ

という方は、クラウド会計ソフトを導入する必要はありません。
従来の会計ソフト(弥生会計など)を使っている会計事務所の方が圧倒的に多いですから、
記帳代行を求める方は素直に弥生会計を使っている会計事務所に依頼した方がよろしいかと思います。

クラウド会計ソフトは、税理士を紹介してくれるのでしょ?と思っている方、そこにはワナがあります

 

仕訳数が多い方

クラウド会計ソフトは、銀行口座やカード明細の同期機能がウリではありますが、
自動仕訳だけですべての会計処理を完結するレベルにはまだ達していません。

また、インターネット環境により会計処理を行うため、どうしても速度が遅く、特に確定申告時期はかなりのストレスを感じて作業を行うことになります。
なお、クラウド会計ソフトは会計ソフトとしては後発のため、信じられないバグが現在も発生しています。

(まだまだバグが多いです)

税理士や公認会計士なら、いや簿記3級勉強中の方でもびっくりすることですが、

借方の金額と貸方の金額が一致しない仕訳が登録されるという現象をfreeeで確認しました。

(借方)?? (貸方)現金 20,000円 のような仕訳(「貸借不一致」といって、本来は仕訳が登録されません)が登録されてしまうのです。

freeeの「振替伝票」作成機能ではなく、Excelのインポートや仕訳のコピーといった機能から仕訳を作成しようとすると起こる現象と思われます。
現在の機能では、膨大な仕訳の中から貸借不一致の仕訳を見つけ出すのは困難です。
下手をすれば、決算の時も気づかずに申告、といったことも起こります。

これは決算書の信頼性の関わるかなり重大なバグなのですが、サポートに問い合わせたところ、「原因は不明」で「開発に対応依頼中」とのことでした。

(→その後、問い詰めたところ1年近く前からこの現象を把握していたことが明らかになりました。)

サポートの発言した「今後の開発に期待してください」というレベルの問題ではありません。

言い方が辛いですが、「Web屋が作った会計ソフト」の域から未だに脱していません。

 

①「致命的な」バグでも、ユーザーに明らかにしない企業姿勢

②重大なバグでも、申告期限日直前でも3営業日しないと回答しないサポート体制

③営業担当者の電話や能力の低いサポート担当者の稚拙な対応で済まそうとする品質保証体制

 

税理士抜きでこのようなクラウド会計ソフトを使うと、申告書を提出した後に不利益を被る危険性あると考えます。

クラウド会計ソフトの使用に慣れた税理士に、決算処理を依頼することをおすすめします。

 

1年に1回まとめて仕訳を入力する方

ひとり事業主できっちりしている方でも案外多いです。
預金口座を同期するわけでもなく、レシートの仕訳を入力することもなく、一度決算が終わるとほぼ1年手つかずになります。

その間にも、クラウド会計ソフトの月額の使用料を払うことになります。
クラウド会計ソフトのメリットをほとんど享受していません。
一度支払いを止めて、決算の時だけ支払再開、とした方がいいでしょう。

 

従業員が多い方

クラウド会計ソフトと人事労務機能がリンクさせていますが、これが結構クセ者です。
「等級」といった用語をご存知でないのなら、クラウド会計ソフトを導入しない方が無難です。
多くの場合は、「預り金」勘定、「法定福利費」勘定が、収拾がつかないほどぐちゃぐちゃになっています。

 

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