東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
12月というと事業主様の立場だとボーナスの支給、個人の立場だと年末年始の準備と、
何かとお金が飛んでいく時期です。
事業主の方にとって、運転資金の確保は頭を悩ます問題です。
マネーフォワードクラウド会計の資金調達機能
えびな税理士事務所の画面に突然「資金調達」機能が表示されるようになりました。
特に現在は資金調達の必要はないので驚いたのですが、中身を確認したところ、
「マネーフォワード クラウド会計・確定申告を利用開始してから1年経過している事業所の、オーナー権限を持ったユーザー」
を対象に表示されるので、使い始めて1年が経ったらこんな画面が突然現れるかもしれません。
知らないうちに、「クラウド資金調達」にユーザー登録されてしまいます。(内容が内容だけにデリカシーがないと思いますが)
資金調達の不要な方はすぐに退会しましょう。
なお、退会しても会計機能の利用には影響しません。
商品内容はビジネスローン
お分かりとは思いますが、お金はタダでもらえるわけではありません。
商品としては「ビジネスローン」であり、日本政策金融公庫の制度融資とかではありません。
詳細はマネーフォワード社のページに譲りますが、スピーディに資金調達ができるの特長です。
銀行口座をデータ連携した上で、会計データを金融機関へ提出する流れになるようです。
金利も3.5%から13.5%(2018年12月現在)と結構な利率です。
マネーフォワード社にも手数料が入るでしょうから、普通に考えると割高でしょうね。
手元の資金の状態だけでなく、開業したとき、新規事業に乗り出すとき、といった場面によって適切な資金調達の方法が異なります。
個人のお財布を見られるのですから、間違ってもいくら借りられるのかなと軽い気持ちで、
ネットでお買い物をする感覚で簡単に金融機関に個人情報を提出してはいけません。
書面で融資を申し込むわけでないので、どこからどこまで金融機関に情報がいくのか本人には分からないのです。
お金を借りたいのでしたら、税理士の力を借りる方法もあります。
経産省の「認定支援機関」に登録された税理士を経由すると、有利になる場合があります。
えびな税理士事務所は、認定支援機関に登録されています。
個人情報保護法に抵触するおそれ
個人情報保護法23条は、次のように規定してます。
「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」
正確ではありませんが、大まかにいうと、事業者は個人(法人は対象外)の名前や生年月日といった情報を、本人の同意なしに第三者へ提供していけません、ということです。
今回のマネーフォワード社だけでなく、freee社も資金調達機能がありますが、例えば、提供したデータの中に個人の名前が入っていたら、個人情報保護法に抵触し思わぬところで不利益を被る恐れがあります。
トップ画面の今後
各種法令の制限から現状では難しいかもしれませんが、将来的にトップ画面にこんなものがでかでかと表示されるかもしれません。
ファクタリング
freeeには既にありますが、今後はマネーフォワードもファクタリングに手を出すかもしれませんね。
ファクタリングとは、利用する立場から簡単に言うと、売掛債権を買い取ってもらって、現金を手にすることです。
短期的な資金がほしい場合に行われる取引ですが、一般的には資金繰りが厳しい場合に行われます。
当然、売上債権を下回る金額で買い取られることになり、通常の借入よりも条件は悪くなります。
怪しいものになると例えばこんな取引もあります。
1 売掛金100を売却して現金60が入金される
2 後日100を支払って売掛金を買い戻す
結局入金60-出金100=赤字40となります。
40はグレーゾーン金利顔負けな金額ですが、手数料?利息?といった債権譲渡契約なのか金銭消費貸借契約といった、法律面からデリケートな問題もあります。
ベンダーがまさか町金融さながらの取引をトップ画面からできるようはしないとは思いますが、何が起こるか分かりません。
生命保険の勧誘
黒字の金額によって、全額損金タイプの生命保険の勧誘画面が表示される
(法律の関係から簡単にはいかないでしょうが)、なんて展開もあるかもしれませんね。
結局トップ画面にいらない情報が増えていく
利用したいユーザーならいいのですが、利用しないユーザーにとっては不要な情報ばかりが増えていきますね。
日本製のガラケーのようです。供給側の一方的な都合が前面に出ています。
マネーフォワードクラウドのトップ画面は、以前からユーザー、税理士双方から評判が芳しくありません。
画面上に有用な情報がほとんどないし、カスタマイズもできない、これは多くのユーザーが感じていて要望もあると思うのですが、
私がクラウド会計ソフトを使い始めてからこの点は全く改善されませんね。
前期比較の損益とか、月次の推移とか、毎日見る情報はどの会計ソフトもなぜかトップ画面には出てきません。
私にとっては、マネーフォワードクラウド会計の画面の8割はいらない情報ですね。
先日の新電力しかりこのビジネスローンによる資金調達しかり、
会計機能とは離れた新サービス(といっても不要な方がほとんど)の話が多いです。
いつまで経っても総勘定元帳では「旧形式」と「新形式(β)」が両方表示される状態ですし、
会計機能の改善がとても遅く、クラウド会計ソフトにこれ以上の進化は望めないかもしれません。
ユーザーや税理士の生の声を聞こうとしないので当然でしょう。
クラウド会計ソフトへの過大な期待は禁物
クラウド会計ソフトに期待しすぎずに、従前のインストール型ソフトと冷静に対比してご利用を検討されることをおすすめします。
これまで弥生会計をご利用の方で、特に不便を感じないのでしたら、そのまま弥生会計をご利用される方がいいかと思います。
クラウド会計ソフト使用の最大のメリットは銀行口座との同期機能です。
逆に言えばメリットはそれしかありません。
銀行口座については、ネットバンクをご利用でしたら、csvでデータを抽出して、加工することで対応することが可能です。
ちょっとしたノウハウが要りますので、ITに強いえびな税理士事務所にお任せください。