クラウド会計コラム④~クラウド会計ここが危ない~

東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。

今回はクラウド会計のここは危ない!と題して、税理士海老名がお客様が実際に操作したクラウド会計ソフトの帳簿を拝見する中で「これはマズイ」と感じたところをまとめてみました。

請求書機能と会計機能の連携のワナ

クラウド会計ソフトには請求書も自動送信、会計ソフトとも連動、というのを大きな売りとしています。

しかし、お客様の請求書機能と会計機能の双方を拝見すると、正しく連動されている方はほとんどいません。

ちょっと専門的な話になりますが、
請求書機能から仕訳を連動させると以下の仕訳が自動的に起票されます。
(借方)売掛金 (貸方)売上高 10,800円

そして、売掛金が入金されたのち、請求書機能から仕訳を連動させると
(借方)現金預金 (貸方)売掛金 10,800円

といった仕訳が自動的に作成されます。

「借方」「貸方」ということを考えることなく、請求書機能と会計機能双方で消込がされてめでたしめでたしとなるというのがクラウド会計ソフト側の売込みです。

でも、実際はそんな簡単にはいかないのです。

・手数料を当方負担の場合は?
・2つの請求額を一度に振り込まれたときは?

ということの内容を理解していますか?

これらについては請求機能側でちょっとした操作が入ります。
このことを理解してささっとさばけないのでしたら、請求機能と会計機能を連動させるのはやめた方がいいです。

クラウド会計の危ない勘定科目

「全自動」「税理士との対面を最小限に、スピーディーに」と謳ってはいますが、お客様側もある程度会計も理解して会計機能を使いこなさないと、決算のときに苦労します。
クラウド会計ソフトを採用しているお客様の会計帳簿を確認する中で感じた、クラウド会計ソフトの「危ない勘定科目」を挙げてみました。

請求の消込~「売掛金」勘定
クレジットカードの同期不良~「未払金」勘定
源泉所得税の納付~「預り金」勘定
住民税の納付~「預り金」勘定

社会保険料の納付~「預り金」勘定

この内容の確認で結局、決算の時にお客様と税理士との間でやり取りが発生し、1年分の入出金を確認することになり、お客様・税理士の双方が苦労してしまいます。

最後は「欠損金(過去からの赤字)があるし、今年はそのままでいっか」なんてことも起こり、過去からのいわゆるゴミが堆積することになります。

請求書機能も使いたいのでしたら、
・PCスキルが基本的に高い
・「手数料の相殺」といった会計的なことも理解している
・請求先が少ない
という方以外には基本的におすすめしません。

変に連動させると、預金残高も売掛金残高も合わなくなって、かえって会計崩壊なんてことも起こりかねません。

 

freeeインストラクター制度のワナ2

freeeでは税理士に対して、インストラクター制度を導入しています。
3つ星、4つ星、5つ星と星が増えるほどお客様を抱えているわけですからfreee株式会社から見ると
「ありがたい」「エライ」会計事務所、税理士であるといえます。

しかし、星が多いからといってお客様にとって本当に「ありがたい」会計事務所かというと残念ながら「Yes」とは言い切れませんね。
星が多い→お客様が多い→税理士がすべてのお客様を見られない→採用したての会計事務所の職員が担当する
なんて流れを想像するとお分かりいただけると思います。

確かに、会計事務所で最初にfreeeと付き合った税理士は機能を使いこなしていて、お客様にさまざな有用なアドバイスをできるでしょう。
しかし、クラウド会計ソフトはまだまだメジャーとはほど遠い状況です。
そもそも、会計事務所の職員の多くは弥生会計の方が使い慣れています。
よって、freeeインストラクター〇つ星なんだから税理士はもちろん会計事務所の職員も、色々な機能を使いこなせて面倒な対面なしで決算もきっちりまとめてくれる、なんてうまい話はそうありません。

むしろ、若手の開業したての税理士の方が、丁寧に対応してくれる可能性が高いですよ。

結局のところ、ちゃんと決算申告を終わらせるのなら、これまでとおり月次の顧問料を払ってこまめに帳簿を見てもらって
(程度にもよりますが、定期的に会社でなくても近所のカフェでPCを持って帳簿や領収書等をみてもらう方がいいですよ)
決算料もお支払してきっちり債権債務を確認して、という形がベターです(特に金融機関との関係上)。

 

 

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