東京都目黒区のクラウド税理士 海老名洋明です。
前回、どのクラウド会計ソフトを使えばいいの?ということで、全体的な話をしました。
案外見落としがちな「税理士からの評判」という観点も忘れないでほしいということを改めて強調したいと思います。
今回は、10種類以上の会計ソフトの使用経験を有する税理士海老名が
クラウド会計ソフト、マネーフォワードクラウドとfreeeについて
普段使いでちょっと気になる(平たく言えばこれはストレス、使いづらい!)点を挙げてみました。
ちょっとした画面の違いが大きな違い
えびな税理士事務所の税理士海老名はかつて食品工場に勤務した経験があります。
日配品を製造していましたので、1日で何万食もの商品を作り上げ、出荷しなければなりません。
ボトルネックとなる工程が一つでも生じると、納期遅れ、食中毒の危険性アップ等、会社の存続を揺るがしかねません。
ですので、現場で働く方が少しでも動きやすい、作業しやすい=効率がいい仕事とは何かを常に考えていました。
税理士業界に転じた現在、各種会計ソフト、税務ソフトを使用した感想は「なんてひどいソフトだらけなんだ」の一言でした。
会計ソフト会社は使いやすい、機能が増えたと強調するばかりで、ユーザーはどこをクリックしていいのかわからない、
そもそも使わない機能ばかり、動きは遅い、といった有様で、とてもユーザー目線ではありません(現在も変わりません)。
そこで、クラウド会計ソフトの登場ですが、便利なところはたくさんあります。
その点の紹介はほかのサイトにお譲りします。
しかし、マネーフォワードクラウドもfreeeも自社の優位性を強調するばかりで、「イケていない」ところは全く触れません。
クラウド会計ソフト側は「ユーザー様のご意見を迅速に反映できるのが強み」と言いますが、すぐ改善されるものではありません。
日々、納期重視のビジネスにもまれるユーザーからしたら、いつになったら改善されるのか分からない中で、修正を待っている暇もありません。
そこで、今回はあえて、クラウド会計ソフトの「イケていない」ところを挙げてみました。
項目選択のしづらさ
これは、freeeに特にあてはまります。
freeeの場合
仕訳の登録での勘定科目を選択の際、マウスを下→右→下と動かす必要があります。
カーソルが外れるとまた一からやり直しです。
食品工場に勤務した経験からすると、体力の無駄そのものです。
勘定科目がわかっているときにこの動作を行うのはかなりのストレスです。
こんな作業、仕事を終えた後の夜にしたくありません。
マネーフォワードクラウドの場合
マネーフォワードクラウドは下に行くだけなので、あらかじめ表示科目を絞ればホイールを回すことなく科目を選択するものも可能です。
下にスクロールするのも結構なストレスですが。
マネーフォワードクラウドもfreeeもどちらも使用している税理士海老名からすると、マネーフォワードクラウドの方がまだマシです。
眼や腕を動かすとき、「上から下」「左から右」のどちら方が楽でしょうか?
簡単な質問に変えます。初心者が剣道の竹刀とゴルフのクラブのスイングのどちらが楽でしょうか?
基本的に人間の動きは重力に従い、「上から下」の動きです。
動作を積み重ねる場合は、上下に動かすだけのマネーフォワードクラウドの方がかなり楽です。
どっちを選択しているの?
これもfreeeにあてはまります。
freeeの場合
「収入」と「支出」、「未決済」と「完了」が選択した項目が灰色表示される形になっています。
押しボタンをイメージしているのでしょうが、これはとてつもなくわかりづらい。
うっかり仕訳を登録すると貸借逆なんてことが起こります。
実際、お客様が入力した仕訳を確認した際もこのような事象を確認しました。
マネーフォワードクラウドの場合
対して、マネーフォワードクラウドは「チェックボックス」形式なので、チェックした項目が●で表示され、分かりやすいです。
数字は右そろえが鉄則
経理職、営業職など数字を扱う職種の方でしたら、お金は右そろえが常識です。
理科系の大学で研究された学生でも、数値は右そろえの文化のはずです。
しかし、freeeの試算表の数字をクリックし内訳表示したところ、なぜか左そろえとなっています。
その他の帳票の金額は右そろえです。
社会人なってから初めて見ました。部下がそんな資料を提出したら説教ものです。
freeeの内部にも公認会計士、税理士の方もいらっしゃることは把握していますが、
このようなところに会社の未熟さを感じます(税理士はこのような細かいところに敏感です)。
ごっくん+初期画面戻る病
これもfreeeにあてはまります。
通年の試算表を見て、金額を修正、という作業が多く生じます。
試算表→「取引先別」「品目別」「部門別」の金額をクリック→項目ごとに金額を修正
という作業で金額を修正すると、砂時計+水をごっくんで待たされたうえに試算表の初期画面に戻ります。
何個も修正するときは、何度も試算表→「取引先別」「品目別」「部門別」の金額をクリック
という作業を繰り返さなければなりません。
いやだったら、総勘定元帳に入ってくださいということでしょうが、これくらいだったら弥生会計の方がマシだったと本気で思う時があります。
もっとも、お客様からしたら、入力のみで決算は税理士へ依頼、という関係が多いでしょうから、これについてはあまりデメリットに感じないかもしれません。
しかし、決算書を作成する税理士からするとストレス以外の何物でもありません。
このような操作性の悪さが、税理士がfreeeから離れる大きな原因の一つです。
とにかく遅い
これは両者共通です。
業務効率化をモットーとするえびな税理士事務所の税理士海老名は、パソコンの動きが遅いのがとても嫌いなので、
オフィス用のデスクトップパソコンも外出用のノートパソコンもCPUはIntel core-i7で統一しています。
東京都目黒区に事務所を構えるえびな税理士事務所では、有線LAN環境下では常時下り300Mbps超の速度の環境です。
それでもクラウド会計ソフトの反応速度は遅く感じます。
ワンクリックごとに砂時計、水をごっくんと飲むような感じです。
日中はともかく、夜間の使用はかなりのストレスを感じます。
とはいうものの、メリットは捨てがたい
ここまで、クラウド会計ソフトの「イケていない」ところを挙げましたが、
それでも預金やカード明細の自動同期+自動仕訳機能があるのは大変魅力です。
税理士が記帳代行を嫌がるのは1年の仕訳の半分超を占める預金の入力が面倒だからです。
この作業が減るだけで、特に若手の税理士はクラウド会計ソフトに魅力を感じているのです。