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初めての税理士・税理士の乗り換えの時にしてほしい3つのこと
東京都目黒区の税理士 海老名洋明です。
この記事を書いている2019年7月も、お陰様で個人の確定申告のご相談を頂戴しております。
お客様が真剣に事業の成長を考えているからこそ、1年の折り返しの時期、申告期限の半年以上前にご相談を受けるわけで、当事務所としては全力でサポートしたいと考えております。
一方で、ご相談を受けお手伝いをさせていただく中で、あらかじめこうしておけばもっとスムーズだったのにと感じることがありました。
初めて税理士に依頼することを検討している方、税理士の乗り換えを検討されている方に対して、税理士目線からまずはこれをしてほしいポイント3つをまとめました。
ポイント1 会計・人事ソフトの利用申込みは相談後に
税理士への相談前にクラウド型ソフトを中心に利用の申込みをしてしまう方がいらっしゃいますが、これはもったいないです。
業者の宣伝文句に踊らされず、まずは税理士へ相談して、最適な運用方法を検討してから利用申込をしましょう。
- 税理士経由の購入で割引になることも
弥生会計の使用を希望される場合、「弥生PAP会員」の税理士経由で購入すると大幅に割引されます。えびな税理士事務所は、「弥生PAP会員」です。
- 無料ソフトで足りる場合が多い
給与の場合、フリーウェイ給与は無料ですが、freee人事労務だと年額25,660円、しかも従業員4名以上だと追加料金が発生します。
会計についても、Excelのピボットテーブルの集計で何とかなる場合もあります。
- 年額ではなく月額契約を
どうしても契約したいという場合でも、使用感が合わなかった、後任の税理士の提案に合わせる、といったことがありますので、月額契約をおすすめします。
ポイント2 会計データのバックアップを
税理士は、まずは過去の会計帳簿を基に会計帳簿を作成、確認します。
お客様がクラウド会計ソフトを継続して利用する場合でも、会計事務所ではインストール型会計ソフト上で会計データを別途バックアップしている場合が多くあります。
不測の事態(災害というより業者の倒産等でデータにアクセスできなくなる危険性)に備えて、会計データをバックアップしてから税理士と契約するとスムーズです。
仮に今使っている会計ソフトの利用をやめたいと考えている場合も、税理士に相談後に利用停止の手続きをしましょう。
どうしても課金を止めたい場合も、データの消去を含めた退会ではなく、支払停止だけしておき、データそのものは見ることができる状態にしておきましょう。
- csvファイルで
PDFファイルで「総勘定元帳」を提示しても足りますが、加えて仕訳のcsvファイルを取っておくと、税理士側は過去の仕訳を検索しやすく、有用な情報を提示してくれることが多くなります。
- 弥生会計形式で
何をバックアップしていいのかよくわからないのでしたら、多くの税理士が利用している弥生会計の形式で仕訳データをエクスポートするのが無難です。
マネーフォワード 各種設定→他社ソフトデータの移行→弥生会計へデータを移行する「エクスポート」
freee 集計→仕訳帳→(右上の)インポート・エクスポート→各社CSV・PDFエクスポート→弥生会計→出力開始
からファイルを入手、その旨を後任の税理士に伝えましょう。
- あるだけすべて
使い始めてからすべての年のデータをバックアップしましょう。
ポイント3 納品状況の確認を
税理士を乗り換えた後は、前任の税理士から過去の処理内容の問合わせへの回答や資料の提示を求めるのは基本的に困難です。
契約解除する前に、契約書を確認の上、納品状況を確認し、納品されていないと思われる書類の提示を求めましょう。
また、初めて税理士へ依頼する際も、下記の書類があると相談がスムーズになります。
過去に預けた資料を返してもらう
当事務所は、紙の書類はなるべく早期に返却していますが、会計事務所によっては1年間の資料をずっと抱えたまま、ということがあります。
また、月次報酬を支払って記帳代行を依頼しているにもかかわらず、1年間預けた資料をため込む場合もありますので、契約内容によっては報酬の減額交渉の余地があると考えます。
「総勘定元帳」
「総勘定元帳」とは、勘定科目ごとに日付、金額、取引内容をまとめたものです。税務調査の際は、総勘定元帳を基に調査をしますので、これがないと青色申告取消しといった最悪の事態が想定されます。会計事務所によっては、紙、データのいずれ形でも提示しない場合がありますので、総勘定元帳が手元にあるか確認しましょう。
「源泉徴収簿」「賃金台帳」
12月の年末調整の際に作成されますが、会計事務所側でデータを抱えて納品しない場合がありますので、紙の書類があるか確認しましょう。
申告書、税務関係の届出書
過去の申告書(法人税、所得税、消費税、償却資産、1年分だけでなくあるだけ全部)
「事業開始届」
「法人設立届出書」
「青色申告の承認申請書」
「給与支払事務所等の開設等届出書」
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」
「申告期限の延長の特例の申請書」
など、A4用紙の明朝体で書かれた書類をすべて提示しましょう。有用なアドバイスを得られるかもしれませんし、契約後の業務がスムーズになります。
電子申告のID、パスワード
税務署 「利用者識別番号」と暗証番号
地方税 「利用者ID」と暗証番号
申告書に挟まっている場合が多いですが、会計事務所側が暗証番号を伝えていない場合がありますので、聞き出しておきましょう。
弥生会計を格安で購入する方法
東京都目黒区の税理士 海老名洋明です。
新年度、新元号を迎え、法人・個人を問わず夢を抱いて開業した方(または開業を決意した方)が多くいらっしゃることでしょう。
会計ソフトについて、経理の経験がある、かつて使用したことがある、シェアが高いといった理由で、弥生会計を選択して購入される方が多いかと思います。
直接お金にならない(売上に直結しない)会計ソフトにあまりお金をかけたくないのが本音ではないのでしょうか。
そこで、弥生会計を格安で購入する方法を調べてみました。
どこで買っても価格はほとんど同じ
- インストール型がいい
- ひとり事業主(法人、個人問わず)
なら、「弥生会計19スタンダード」(新元号や消費税法改正に対応)で十分です。
2019年5月28日現在の価格を調べたところ、こんな感じでした。
購入元 | 価格(税込) |
Amazon | 39,308円 |
価格.com | 39,298円 |
ヤマダウェブコム | 39,669円 |
ヨドバシドットコム | 45,140円(-5,869ポイント=39,271円) |
価格.comの推移をみると34,000円を切っていた時期もあったようですが、基本的にどこで購入しても大差ないようです。
Amazonは製造元の「弥生株式会社」が出品していますから、劇的に安くはならないでしょうね。
家電量販店では、山積みになって陳列していますが、格安で購入できても基本的にポイントと抱き合わせの形になります。
「弥生PAP会員」経由の購入がお得
「弥生PAP会員」とは
「PAP」とは、「プロフェッショナル・アドバイザー・プログラム」の略らしいですが、だからと言って特別な知識や技術があるわけではありません。
PAPの正式名称に関心を持つ会計事務所はほどんどないでしょう。
主にライセンスの関係から、会計事務所が年会費を支払って加入するもので、税理士会のような強制加入ではなく、あくまで任意で加入するものです。
弥生会計を利用している会計事務所は大変多いですが、弥生会計を使用する会計事務所のすべてがPAP会員というわけではありません。
弥生PAP会員経由の購入で大幅に安価で購入可能
弥生PAP会員が弥生へお客様を紹介する形で、お客様が弥生製品を購入することで、おおむね市価よりも2-3割程度格安で購入できます。
期間限定ですが、オンラインの場合は、最大14か月分の利用料が無料になることもあります。
以前からオンラインを利用していた個人が法人成りしたときはメリットが大きいかと思います。
会計事務所と顧問契約締結のお願い
会計ソフトを格安でご紹介する代わりと言っては何ですが、PAP会員経由で弥生会計を購入した場合は会計事務所と顧問契約を締結した上で、適宜会計帳簿を確認するのがベターと考えます。
確かに弥生会計はトップシェアではありますが、会計ソフトは簿記に詳しくない方がサクサク利用できるほど簡単なものではありません。
開業1年目は特に、
- 初期設定
- 預金口座やクレジットカードの同期設定
- 売上の計上方法
- レシート、領収書の入力方法
- 税務関係の届出書の提出
など、検討すべき事項がたくさんございます。
経理経験者でない限りは会計事務所のアドバイスなしで独力で正確な会計帳簿を作成するのは困難であると考えます。
デメリットがひとつだけ
会計事務所からの紹介メールを受信→リンク先から申込み、といったネット上でのいくつかやり取りがありますが、少々手間がかかります。
業者の都合が前面に出た記入事項が多く、時代遅れで、カスタマーサービスの観点では弥生会計は、税理士からの評判は芳しくありません。
不明点があったら弥生のカスタマーに連絡するわけですが、役所以上に対応が硬直的で融通が利きません。簡単な照会だけでも、たらい回しの上、20分かかるなんてことも。
最初の申し込みだけですからそこは耐えるしかありません。
えびな税理士事務所も「弥生PAP」会員
えびな税理士事務所は、弥生PAP会員です。
弥生製品の利用をご希望でしたら会計(インストール型、クラウド型)のほか、給与、Misocaなどを優待価格で購入できます。
ですが、えびな税理士事務所は弥生の回し者でなく、弥生会計のすべての機能を使いこなすことを目指していません。
便利で必要なところだけを使って、場合によってはExcel等も活用して、弥生製品と適度に付き合う、というスタンスです。
初めから弥生ありきのご提案ではなく、お客様の状況に合わせたご提案を致します。
「開業したが税務関係の届出をしていない」「会計ソフトを購入しないでできる方法はないか」といった相談も承ります。
Excelのピボットテーブルを使って簡単に損益を把握する方法
東京都目黒区の税理士 海老名洋明です。
最近、「楽」「簡単」という評判だったクラウド会計ソフトは相次ぐ値上げで、割安感がなくなっています。(2年分で弥生会計などインストール型ソフトの購入代金を超えてしまいます)
確定申告では帳簿を作らなければならないことはわかっているけど、
- 「どの会計ソフトを買っていいのかわからない」
- 「簿記がわからない」
という方が多いと思います。特に、確定申告をしたことがない開業初年度の方にとっては頭が痛いことでしょう。
そんな方については、Excelを使って簡単に月次の損益を把握する方法があります。
税理士の協力のもとで、お客様側で会計ソフト(弥生会計で2-3万円から、クラウド型で年2-3万円)を購入する必要がないのが最大のメリットです。
えびな税理士事務所では、ある程度のITスキルをお持ちの方については、使い慣れたソフトを活用した運用をご提案できます。
お客様の事情に沿った運用のコツ(やるべきこと、してはいけないこと、確定申告で準備しておくべきこと)などを正直ベースでお話し、一刻も早く確定申告が終わるようサポートします。
お気軽にお問い合わせください。
こんな方におすすめ
- 白色申告の方、青色申告の10万円控除の方
青色申告決算書の貸借対照表に預金口座の残高を記載しない方、例えば白色申告の方や不動産所得で事業的規模以外の方が想定されます。
- 65万円控除でも預金口座が私用の入出金ばかりのとき
青色申告で不動産所得、事業所得があるものの預金口座が私用の入出金ばかりのときは、貸借対照表の普通預金残高を記載しないことも想定されます。
- 取引が単純
売上先が少ない、費用はレシート、請求書のみで固定資産の減価償却がない場合は有効です。
データを入力しましょう
Excelを開いてB列から横に「日付」、「勘定科目」、「金額」、「内容」と書きます。
その後は、請求書、領収書1枚ごとに以下の項目を記入します。
空き列を作らないよう続けて記入しましょう。
B列 日付
売上を請求した日や、支払った日を記入します。
古い日から記入しなければならないことはなく、順序は気にしなくても大丈夫です。
C列 勘定科目
「売上高」「旅費交通費」など、一字一句同じに記入します。
D列 金額
売上は「+」で、支出は「-」で記入します。
E列 内容
相手先と内容はとても重要です。必ず記入しましょう。
確定申告で必要な帳簿の記載事項ですので空白は避けましょう。
テータをテーブル化
記入が終わったら、「Ctrl+T」より、OKを押しましょう。
行と列が色に付きます。この色がついた部分が、ピボットテーブルにより集計されます。
後でデータを追加するときは一番下に続けて入力することで、行に色が付き、ピボットテーブルに反映されます。
ピボットテーブルの作成
OKを押したら、別のシートにこんな画面が表示されます。
これだけではまだ集計されていませんね。そこで、右側の項目にチェックすることで月別の損益を把握することができます。
クリックする順番によって、形の違う表が出来上がりますが、
(右上)列→「月」
(左下)行→「勘定科目」
(右下)値→「金額」
となるように項目をドラッグすると、月次の損益が分かるようになります。
「総計」が売上から必要経費を引いた利益になります。
売上が中途半端な位置にありますね。この場合は、「売上」の行ラベルをドラッグすることで上に移すことができます。
データを追加した場合は、表の上で右クリック→「更新」をクリックしてください。
もっと便利にする加工も可能
今回は、説明を簡単にするため入力項目を絞っていますが、次の列を追加することでもっと楽にすることができます。
日付
月と日をそれぞれ別の列に記入して、さらに別の列でDate関数により年月日を自動で表示させることができます。
ショートカットキーの「Ctrl+Enter」により複数の行にまとめて月を入力することができますので、入力の手数を減らすことができます。
金額
今回の記事では、売上以外の科目の金額をマイナスで手入力していますが、別の列でif関数を使って売上以外の勘定科目の金額について「×-1」とする数式を組むと金額欄で「-」を入力する手間が省けます。
また、「Ctrl+Shift+1」(またはホーム→数値→「,」)を押して、3桁ごとに「,」を入れることができます。
(応用)相手先別の売上
別の列で売上の相手先を記入することで、相手先別の売上の金額を把握することができます。
確定申告の際の注意点
今回紹介したピボットテーブルの活用によりおおよその利益の金額が分かりますので、納税額を予測するに役立ちます。
でも、それだけでは確定申告まで完結することはできません。
「総勘定元帳」の作成
勘定科目ごとにどんな取引があったのかをまとめなければなりません。
「複式簿記」による帳簿の作成が基礎となりますが、今回のご紹介では「単式簿記」を基礎としていますので、「総勘定元帳」の作成まで対応していません。
最終的には、税理士事務所で弥生会計などを使ってお客様が作成したデータをインポートして総勘定元帳を作成する流れになると思われます。
普通預金の増減
法人については必ず、普通預金の増減を通帳のとおり1行ごとに帳簿に記録して、帳簿上実際の残高に合わせなければなりません。
ネットバンクからcsvでデータを取得するなりして、別途帳簿を作成しなければなりません。
「貸倒引当金繰入」等の計上など節税策の検討
年末の売掛金残高については、一定金額が貸倒引当金繰入として利益を減らすことができます。
別途申告ソフトを使うなりしなければ正しい金額を求めて申告書に反映させるのは難しいでしょう。
また、この方法は現金の入出金ベースを意識していますので、12月請求の1月払いの費用について費用計上が漏れてしまう可能性があります。
消費税の計算
税理士なら「内容」欄から消費税の計算対象を把握できますが、お客様側で把握するのは困難です。
消費税の納税義務がある方は、今回紹介した方法を使うか否かを問わず、税理士へ依頼することをおすすめします。
完璧ではないけれでも十分にメリットあり
税理士へレシート、領収書を丸投げした結果、申告する3月になるまで1年の利益や納税額が全く分からない、いわばビックリ箱のようなことが起こりづらくなります。
また、データを提供することで、税理士への申告報酬の支払い(量にもよりますが、レシート丸投げの場合、月1万円+申告報酬の10万円からが相場です)を少しでも安く抑えることができます。
個人事業主で、1年分の売上、費用を①日付、②金額、③勘定科目、④摘要(相手先と内容)を記載したExcelを提出していただけるのでしたら、多くの税理士は申告報酬を10万円以下で引き受けてくれると思います。