~レシートのスキャナ読み取りは是か非か~
東京都目黒区のファイリング・デザイナー税理士 海老名洋明です。
最近、クラウド会計ソフトを中心に、スキャンによるレシートや領収書の読み取り、その後の自動学習による自動仕訳入力機能が注目されています。
経理に明るくない方なら、借方、貸方を気にすることなく、貸借一致がどうしたと考えることなく作業が終わるのですからそれは魅力的です。
業務の効率化に関心を持つえびな税理士事務所の税理士 海老名もこの動向に大変注目しており、実際に試しております。
レシートのスキャンでのヒヤリハット
2017年(平成29年)5月現在以下の現象を確認しています。
①(要注意)税込金額ではなく税抜金額を読み取った。
支払った金額は税込108円なのに、スキャンすると税込100円として読み取った
②(気付きづらい)値引後の金額を認識しない
スーパーでレジ袋不要やポイント使用による値引きがあった場合は、レシートに総額、値引金額、値引後の支払金額が記載されます。
しかし、実際の支払金額である値引後の支払金額が小さなフォントで記載されている場合があり、そのときは誤って実際の支払金額ではない総額を読み取ることがあります。
例えば、総額100円、レジ袋不要のため2円値引きで支払金額が98円の場合、スキャンすると実際に支払った金額を100円と認識してしまいます。
③電話番号や郵便番号を読み取った
支払金額の近くでフォントが似ている電話番号や郵便番号を読み取った
④数字が入った店名の数字を読み取った
同様に住所の地番や日付を読み取るケースもあり
という風に、経理初心者の人間でもやらない数字を認識することが多々あります。
実感として、正確に読み取れる割合はそれほど高くありません。
1度の作業において、すべてのレシートを正確に読み取れることはまずありません。
ひどい場合はかろうじて勝ち越す程度です。
確認や修正作業がどうしても生じる
名刺アプリでは、名刺のスキャンでは、誤って読み取った社名・人名や電話番号を修正することがあります。
レシートの読み取りでも同様に、スキャナで読み取った後に文字や数字の修正作業がどうしても生じます。
名刺アプリは自己管理用の使用が主でしょうから、修正しなくても困ることはあまりないでしょう。
一方、レシートや領収書の読み取りは、その金額が決算書や税務申告書にダイレクトに反映されます。
1枚、2枚の読み取り間違いが税務調査時に命取りとなる危険性をはらんでいます。
よって、スキャンした後もひとつひとつ確認する作業が必須となります。
さらに、レシートや領収書のない出費(例えば電車代)や読み取りづらい手書きの領収書はスキャン読み取りは不可能です。
スキャンと別途会計ソフト入力の二つの方法を併用するのは、手間であると考えます。
えびな税理士事務所のおすすめの方法
レシートのスキャンによりすべて自動で正確に会計入力ができればいいですが、
①正確に読み取れないことがある
②公的機関の文書を中心にそもそも読み取りに適していない文書が多い
ことなどから、えびな税理士事務所では、当事務所オリジナルの簡単な小口現金入力用のExcelシートに入力していただき、会計ソフトにインポートする方法を採っております。
借方、貸方を意識することなく、お小遣い帳の感覚で簡単に記帳できます。
とはいえ、チェス、将棋、囲碁とAIが人間のトップ棋士に完勝する時代です。
現在の不満点は近い将来解消され、スキャンによる自動仕訳が主流になるかもしれません。
えびな税理士事務所はより楽で正確な作業の実現のため、今後もリサーチを続けます。
ファイリング・デザイナーとは、紙や電子による書類整理のプロフェッショナルで、一般社団法人日本経営協会が主催する検定の合格者に与えられる資格です。
えびな税理士事務所の税理士海老名は、ファイリング・デザイナー1級資格を取得しており、当事務所では環境に優しいペーパーレス事務所を実現しています。