「良い税理士」と言いましても人それぞれです。
私が税理士に依頼するとしたらという目線と税理士業界の現状を合わせて、私が考える良い税理士の選び方をお伝えします。
0.自分で税理士を探すこと
「0」としましたが、これは税理士を探す上での大前提と考えます。
当事務所においては、お陰様でこのホームページをご覧になったお客様からの問い合わせ・顧問契約の締結が増えておりますが、
一般的に、お客様自らが税理士を探して、アプローチする方が税理士と良好な関係を築いていると感じます。
「友人が困っている」といった方のお問い合わせよりも、困っているご本人からのお問い合わせの方が、早期の問題解決へつながります。
同様に当事者が忙しい、無関心といった理由で、配偶者の方から相談する場合も、将来的にトラブルのもとになる可能性が高まります。
同業者、友人から紹介された税理士も有効でありますが、いつもお客様に合うとは限りません。もっとお客様に合う税理士がいるかもしれません。
是非とも一度は自分で税理士を探す努力をしてください。
1.正直にすべてを話すこと
電話、メールといった手段で税理士事務所へ最初のアプローチをすることになります。
電話口で「事情があって」「不満があって」税理士の変更を検討している、と伝えられても、電話の受け手の税理士としては相手の意図を探りながらお話をすることになりますので、お話しに時間が掛かり、話が先に進みません。
その「事情」や「不満」を整理して正直にお話しください。
正直にお話ししないと、後任の税理士とも同じ原因で契約解消ということになりかねません。
その点、電話よりもメール・お問い合わせフォームよりお問い合わせ頂いた方が、論点が整理されますので、税理士の検討が早く進むもののと考えます。
2.経歴が多様な人
「ラーメン屋しか知らない店主のラーメン屋」より「ラーメン屋以外も知っている店主のラーメン屋」が作るラーメンの方が、過去の多様な人生経験が糧となっていて美味しいと私は思います。
もちろんラーメン屋一筋の方を否定するつもりは毛頭ございません。
実は税理士業界は異業種から転職した方が多くを占めるのが特徴です。
税理士と接する際は、税務のこと以外に雑談のひとつやふたつはすることと思います。
税理士を選ぶ際は、前職は何をしていたのか、そこで何を得たのかを聞いてみるといいでしょう。
税務以外にも、あなたの業務にも活かせるノウハウを教えてくれるかもしれません。
えびな税理士事務所の代表海老名は、農学部を卒業後、大手水産会社で品質管理をしていた、経理や税務に全く無縁な分野から税理士になった変わり者です。
工場勤務で得た業務の効率化のノウハウを有しており、一方で人と人がぶつかり合う現場を変える大変さも知っています。
3.世話見がいい人
毎月お金を払っているのに決算期になっても来てくれない、という不満をお持ちの方も多いかと思います。
3月決算の法人ですと冬の賞与支給時期である12月あたりから決算対策を考え始めます。
その時期に決算について相談に乗ってくれる税理士、月次にしろ隔月にしろ、訪問した際は雑談だけではなく、試算表を見て数字に関心を持つ税理士を選びましょう。
4.互いの規模が合っている
海外にいくつも子会社があって、全国に支店が何十あり、従業員が何百人もいて、資本金が何十億円、組織再編も頻繁という法人様は、相談内容が高度になり、書類の確認等も多くなり、とても1人で捌ける業務量ではありませんので、複数の税理士が関与する大手税理士法人に依頼することになります。
大手税理士法人より規模は小さくなるものの、数人から数十人のスタッフを抱える税理士法人ですと、特定の業種に強みを有していたり、税務以外の各種コンサルティングのノウハウを有していたりと、独自のサービスをも受けられるメリットがございます。
一方、報酬に管理コスト等が加算されるため、どうしてもお安くとはいきません。
えびな税理士事務所のようなひとり税理士事務所の場合は、大量の業務を迅速に捌くのは得意ではありませんが、お客様ごとにカスタマイズしたサービスを提供しやすいメリットがございます。
また、担当者がひとりのため末永いお付き合いも可能になります。
5.年齢が近い、境遇が似ている
4.で挙げた「大きな法人は大きな会計事務所、小さな法人は小さな会計事務所」のように、
「設立したての事業主様は開業したての税理士へ」、「30代の事業主様は30代の若手税理士へ」、「目黒住まいなので目黒の税理士へ」という感じで税理士を選ぶと外れを引く可能性が減ります。
お客様に税理士を変えた理由を伺うと、小規模な事業を始めたばかりで色々聞きたいのに、所員の仕事量の多い老舗の税理士法人に依頼した結果コミュニケーションがうまく取れなかった例や、
電話をかけて質問するものの税理士とは東京と大阪ほどの距離があったためお互いに心理的に距離が遠くなった例がありました。
お客様または税理士が大きな過失を犯したのではありません。自分と税理士との距離が最初から離れすぎており、当初から税理士選びに失敗していると思われます。
もちろん自分の境遇とすべて一致する税理士はおりません。
HP等を参考に「自分に一番近い」と思える税理士を選んではいかがでしょうか。
+α 税理士をお探しのご本人について
お客様にとって「よい税理士」になるかどうかは、契約締結後のあなたの振る舞いにもかかっています。
例えば、前任の税理士に対してこんな振る舞いはしていませんでしたか?
・税理士に資料を提示しない、催促されても提示しない、遅れることを連絡しない、謝らない。
・税理士が説明したことを忘れた、知らないとしらばっくれる(平気で嘘をつく)。
・大切な情報を隠す。
・事業の現況を全く省みず、決算の黒字化を要求する。
・仕事の価値を理解できない(仕事の内容ではなく、価格ありきで話をします)。
・取引先の代金の支払金額を間違える、支払いを忘れる。
このような方は、総じて他人を軽視し、自己を優先した行動を取ります。「お金を払っているのだから」という振る舞いが前面に出ます。
このような振る舞いをされると、税理士側も十分なパフォーマンスを発揮することができず、結果として税理士報酬が高いと感じることになります。
お金をもらう先も払う先も、どちらも取引先(ステークホルダー)には変わりありません。
税理士そのものを定性的に評価することも大事ですが、ご本人のこれまでの振る舞いについても省みてはいかがでしょうか。