節税の本質は所得税、法人税、消費税等税金そのものを減らすことではなく、少しでも多くのお金を手元に残すことにあります。
適切な節税を行うことにより、その年の納税額を少なくするとともに、翌年の予定納税(年の途中で納める税金の前払い)額を少なくすることができ、資金繰り上大きな効果を持ちます。
0.節税の大前提
まずは、(1)税理士に、(2)確定申告前に、(3)対面で、節税策を聞いてください。
(1)税理士に
これまでの相談相手の名刺を見てください。肩書に何も書いていない方の場合は、誤った知識を基にアドバイスしている可能性が高まります。
あくまで一つのアドバイスとして受け止めて、別途税理士に相談することをお勧めします。
(2)確定申告前に
所得税は暦年(1月1日から12月31日まで)、法人税は事業年度(3月決算の場合、4月1日から3月31日まで)に区切って計算されます。
よって、1年の所得を基に計算される所得税や法人税について、決算間際、申告期限間際になってから相談したのでは手遅れとなる可能性があります。
遅くても決算期の2-3月前に相談すべきでしょう。
(3)対面で
確定申告時期になると税務署等で無料の確定相談が行われます。
しかし、これらの相談は申告書の作成と提出が主な目的ですので、限られた時間の中で有効な節税アドバイスを受けるのは難しい面があります。
税理士と1対1でじっくりとお話しした方が有効な節税策を提案される可能性が高いです。
1.所得税でよくあるもったいない例
(1)ふるさと納税による減税の適用もれ-急増中
ふるさと納税先の自治体から、お礼状と一緒に見慣れないA4用紙の「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」(以下「申請書」といいます)が同封されていませんでした?
これは「ふるさと納税ワンストップ特例制度」といい、寄附先に返送すると、確定申告なしでふるさと納税の特典が受けられる制度に関係した書類です。
しかし、①「申請書」を返送せずに確定申告もしなかった、②「申請書」を提出したが1年のふるさと納税先が6団体以上だった、③ふるさと納税とは別に確定申告が必要な要件にあてはまる、
この場合は、確定申告をしないといわゆる「寄附したまま」になります。
「住民税決定通知書」を見て、ふるさと納税による特典を受けているか確認しましょう。
(2)扶養控除の適用もれ
遠方にいる年金生活のご両親、親元を離れた学生について、扶養控除から外しているケースがあります。
1年通しでなくても、その年12月31日現在で扶養していれば扶養控除を受けることができます。
確定申告とは異なる「更正の請求」の手続きを取ることにより、過去にさかのぼって適用することができます。
(3)「特定口座」による株の譲渡損の申告もれ
NISA口座の非課税限度枠120万円を超えて取引する場合は、「特定口座」による取引となります。
「特定口座」により生じた株の売買・配当による利益、損失は確定申告の義務はございません。
一方、損失がある場合は、翌年に利益と相殺することができますが、その場合損失が生じた年分から確定申告を行わなければなりません。
2.法人税でよくあるもったいない例
(1)所得拡大促進税制の適用もれー急増中
「業績好調で従業員の給料を増やした、賞与を支給した、従業員を増やした」、そんな場合において、所得がある(黒字である)場合は所得拡大促進税制を適用できる可能性があります。
決算対策をせずに、申告直前になって適用できませんでしたと報告してトラブルになる例があります。
数万円から場合によっては数10万円以上の節税効果がありますので、決算期の2-3か月前には所得拡大促進税制を適用できるか税理士に質問してみましょう。
(2)売上の分析
直接的な節税策とは離れますが、年々売上が減少しているため資金繰りが年々厳しくなっている例もよくあります。
単年の決算しか見ていないときによく起こります。
少なくても3年比較の年次、月次決算を一覧表にまとめて、事業主様自ら早期に変化に気付くようになりたいものです。
(3)経費の分析
これも直接的な節税策とは離れますが、1年間のコピー代、文房具代はいくらか即答できますか?書類一つを持ってくるのに何分もかけて探していませんか?このようなところから無駄が生まれ、仕事の属人化が生まれ、組織の成長を阻害するのです。
また、税金を払いたくないからと不要不急の物品を購入するのは誤った節税策の一つです。
資金を減らすだけでなく、固定資産計上した場合は償却資産税の支払いが生じる可能性があるほか、保管コストの発生等のデメリットが生じるためです。
3.その他検討すると節税効果が高いケース
(1)個人事業主の法人成り
個人に課される所得税は超過累進税率といい、所得が多いほど税率が高い仕組みとなっています。
一方、法人に課される法人税は、税率は一定です。
この仕組みの違いを利用して高所得者の事業について、法人化することが広く行われています。
(2)お金が出ていく節税
お金が出ていく節税策としてよく知られているのは小規模企業共済、確定拠出年金、各種保険の加入による節税策があります。
加入しすぎてお金が無くなっては元も子もないので加入は慎重に検討しましょう。
その他、ちょっとした節税のコツがあります。
私も税額が安くなりそう、節税できそうだけど、依頼するのはちょっと敷居が高いと思った方、損はさせませんので、えびな税理士事務所まで是非ご連絡ください。