東京都目黒区の税理士 海老名洋明です。
税理士業界は、個人の確定申告、3月決算法人の確定申告、7月10日までの源泉所得税の納期の特例の処理が終わり、ゆっくりと自己研鑽に励む時期になりつつあります。
同時に、税理士の乗り換えや初めての依頼のご相談が増えつつある時期です。
当事務所へのお問い合わせで毎年あるのが、「税理士に所得税の申告を依頼して資料一式を渡したのに」「税理士に毎月顧問料を支払っているのに」
- 申告期限直前に断られた(3月にありがち)
- いつまで経っても税額計算が終わらず、申告期限を過ぎてしまった
- コロナ特例があるから申告が遅れても大丈夫と言われたまま申告が終わらない
といったものです。今回はこのような場合の解決のポイントをお伝えします。
すぐに次の税理士を探しましょう
恐らく待っていてもいつまで経っても申告は終わりません。同じ事象が2年続くようでしたら税理士側から軽く見られていると思います。
- 預けた書類がある場合は返してもらう
- 電子申告の利用者識別番号と暗証番号を教えてもらう
- 別の税理士にお願いすると伝える
だけで十分です。
税理士側に非がありますので責めたくなる気持ちはよく分かりますが、申告を終わらせるという本人の利益を優先してそこは抑えて穏便に終わらせることをおすすめします。
近所の税理士を探しましょう
会計帳簿や申告書の作成は簡単で単純作業と思われるかもしれませんが、本当にその通りだったら税理士に依頼せずに自分でできるはずです。
親切な税理士は、メールやアプリで書類や質問事項のやり取りをするだけでなく、対面でヒアリングする中でお客様の言葉の細かなニュアンスや意図をくみ取り、最善の結果になるよう最大限の努力をします。
ですので、対面で会ってお話しできる税理士を探すことをおすすめします。
東京都目黒区の当事務所に申告が終わらない!と他の会計事務所から駆け込まれたお客様はご近所の方ばかりで、何回か対面でやり取りをすることで早期の解決につなげております。
「簡単ですので」は心の中だけで言いましょう
税理士は多様な税目の申告をしていますので、目の前のお客様の申告処理はそれほど難しくないかもしれません。
でも、毎月(または隔月)に行くヘアサロンのスタイリストの仕事を「簡単」な「単純作業」と評価しますでしょうか。
スタイリストさんだってカットひとつとってもお客様の体形、顔立ちのみならず、ファッション、季節、天候等々、プロの観点から多様な観点から限られた時間で頭をフル回転してカットしています。
当事務所から離れた、または関与をお断りした方は例外なく、税理士に依頼する業務を「簡単」な「単純作業」と(しかも何度も)強調していました。
プロの仕事に対する敬意がないので率直に申し上げると取引先や職員が離れており、結果として売上や利益につながっておらず、「貧すれば鈍する」の言動そのものでした。
自力での解決は困難なので税理士へ相談しているのですから、「簡単」と言うのは控えて、教えを乞う感覚でプロに仕事をご依頼頂きたいと思います。
「申告が終わらない」とはっきり伝えましょう
「税理士の対応に不信感を持った」のはその通りですが、最初にその言葉をそのまま伝えると初対面の税理士側は構えてしまいます。
自らの感情ではなく「税理士に依頼したが申告期限に間に合わないようです」と事実を伝えた方が、
「いつ頃依頼しましたか?」「税目は何ですか?」「資料は手元にありますか?」など先へつながる質問につながり、解決に向かいやすいです。
相見積よりも相性が大事
「1年の売上高がいくらか想像もつきません」と仰る方が、申告報酬の見積に対し「値引いてください」「都民税均等割7万円や源泉所得税の立替を含めてくれますか※」と言われると、せっかく確定申告を早期に完了させ、かつ、適正な範囲で納税を少なくしたいと考える税理士も一気に冷めてしまいます。
相性がいいと思った方にその場ですぐに依頼することも時に大事ではないかと個人的には思います。
※納税は税理士が行うものではなく、納税義務者(=お客様)が行うものです。納付をした、しないのトラブルになりますのでご自身で納税ください。
私が聞いた申告が間に合わない会計事務所の事情
今回ような事情のあるお客様のお話しを聞くたびに同業者として残念な事態で、かわいそうという感情が沸きます。お客様から事情を伺うと依頼していた会計事務所はこのような状況にあるように思われます。
- クライアントが増えすぎて処理しきれなくなった
ホームページの営業等で問い合わせが急激に増えた、事業主の多い都心の会計事務所に多い印象です。
- 職員の能力不足
ヒアリング力やExcel等での集計能力、作業スピード・正確さ、判断力といった総合力は選抜された試験組の実務家がずば抜けて高いですが、業界初体験の方や扶養範囲内のパートの方はそうはいきません。担当者の能力によるところも多分にあると感じます。
- 職員が退職したが補充できない
コア職員が退職した、ベテランの職員が亡くなった後に同等の処理速度を持つ職員を即時に補充するのは容易ではありません。人材流動性の低い地方で職員の欠員があるとリカバリーが難しく、結果申告が間に合わないケースが発生しているようです。
- 税理士(または担当の職員)が疲れた顔をしている
- 電話をしても出てくれない
- 納税額の連絡が期限の前日や当日
といったことも多いようです。