私が税理士になれた理由

東京都目黒区の税理士 海老名洋明です。

2023年も猛暑の中、8月に税理士試験が実施されました。私は、受験勉強を開始した年から最後に合格した年までに受験予備校に支払った領収書を保管しています。結構な時間とお金を掛けたものだと思わずにいられませんが、私が最後に税理士試験を受験してから早いものでもう10年になります。

ここでは、私が今なぜ税理士して生活できているのかいくつかポイントを思い出してみました。

 

受験1年目をDVDで受講した

受験勉強を開始した28歳当時は、税理士試験の怖さを知らず、合格まで何年かかるかも想像すらできませんでした。

まずは簿記論と財務諸表論かな、と軽い気持ちで40万円近くを払いましたが、働きながらで、かつ、電卓を叩く仕事も未経験では合格できないかもと考え、再度勉強することに備えてWeb通信ではなくDVDで受講したのが正解でした。

受験1年目は、午前の簿記論で疲れてしまい、午後の財務諸表論は、途中で寝てしまいました。有給休暇を取っていたものの、試験終了後に仕事場に戻った記憶があります。そんな私でも、受験2年目はDVDで真面目に財務諸表論の授業を聞いた結果合格し、今は税理士を生業としています。

ちなみに最初と最後の講義のDVDを保管していますが、ディスクが劣化したのか再生することができません。いつか再生できるものと信じてそのDVDを保管し続けています。

 

受験専念の決断

世間知らずとしか言いようありませんが、リーマンショックで景気が後退する中、人より勉強はできるという自信があったので、働きながら10年受験するより受験に専念してさっさと資格を取った方が早いと考えたのが正解でした。

働きながら勉強をしていたら、今も受験勉強を続けていたことでしょう。

 

通学か通信か

「合格する人はどちらでも対応できる」、とある講師の言葉です。

私の場合は、通信で1.3倍速で集中して講義を聞いてすぐに問題を解くことも、通学で講義開始1時間前に席をキープして3時間の講義を聞いた後すぐに問題を解くことも両方経験しました。

どちらも貴重な経験であり、どちらが良い悪いと言えるものではありません。

要は一度決めたら外野の言うことに一切気にせず一心不乱に勉強し続けることです。周りの大多数の人は試験のこともあなたが人生を掛けて努力している事情も知りませんので、気にしないことです。

ちなみに通信で1.3倍速の講義を聞いていたので、合格者祝賀会で通信でお世話になった先生と話したとき、こんなにゆっくりした口調の先生だったけなと思ったことがあります。

(雑感)
私が大原の講義を聞いた初年度は、スライド映写による講義の開始年だったそうです。人手不足の昨今、小中高、さらには予備校、大学の学校の授業で黒板に板書する時間が無駄なので、同じ事を教えるのならスライドで大事なことを教えて(さらに言えば優秀な先生の録画を流して)、後は問題を解く時間や自らの考えを文書やプレゼンで表現する力を養う方が良いという考えは、もっともだと感じます。

私も中学時代の塾と高校1年と3年で当たった数学の先生に恵まれたから今の自分がいるラッキーな面があります。それだけスピード感やサービスを提供する側にも高いスキルが求められる厳しい(良く言えば洗練された)時代になったものとつくづく思います。

 

東京へ転職した

当時は職を求めた結果でしたが、これが今の自分に繋がる最大の決断でした。

地元の狭い世界にいるだけでは、往々にしてドクタースランプアラレちゃんのニコチャン大王(事務所所長)と家来(事務所職員)の世界で終わってしまいます。

上場企業(曲りなりに売上1兆円規模)に勤めた後、地元の会計事務所に短期間勤めていました。アカデミックな教育を受けていない高卒の所長は所得が不健康そうな腹に現れ、無資格の職員はやせ細り疲れ果てて所長にビクビクし、男性職員の話すことは風俗店のこと、いった空気を、修士卒の私はここでいいのかと感じたのです。

その後、東京へ出て、上場企業や優秀な弁護士や公認会計士の先生と仕事をさせていただいて、プロフェッショナルとしての矜持、知識や教養といったものに触れ、仕事のクオリティと共に、プライド、謙虚さ(そして酒やグルメ)を教わりました。

私見ですが、「うちの仕事はレベルが高い」という事務所は大体謙虚さを失っています。
そのような場合は、役に立つところを頂戴してどんどん転職して自らの価値を高めるのが大切だと思います。(ニコチャン大王と家来の世界で生きるのもそれはそれで結構な人生です)

(衝撃だった体験)
一時期、決算が荒れた上場企業の支援に伺った時に、支援チームの公認会計士の先生から監査法人(公認会計士の先生としては驚く品質の監査のようです)には名刺は渡さずに監査法人室からさっさと帰ってこい、と言われたことがあります。

初対面の方には丁寧に名刺を渡すものと教わった私には衝撃的な一言でありましたが、プロフェッショナルとしてのプライドを感じた貴重な経験でした。

その案件では、税理士でありながら税務申告の業務は一切なく、公認会計士の先生や経理部長に教わりながら、ひたすら有価証券報告書、決算短信といった開示文書を作成していました。当時は、ご飯を食べるために、大したスキルがない中で必死に仕事をした記憶があります。その時の文章作成のノウハウが今でも生きています。

 

資格を取った後も勉強熱心

資格を取得した後は、税理士のみならず、弁護士、司法書士、公認会計士、社会保険労務士といった士業の方とのつながりができます。(ご縁がないのか、弁理士や土地家屋調査士の先生との接点は今のところありません)

ですので、できるだけ早く資格を取って、税務はともかく、それ以外の部分でたくさん勉強する方が吉だと私は考えます。

私は、オフで開かれる先生の勉強会に参加させていただいていますが、参加される先生は、年齢、経験問わずどの先生も勉強熱心で謙虚です。

私も、少ない経験ではありますが、実際に経験した案件を少しばかりでありますが報告し、ディスカッションの中で、実務上の問題点や解決方法を検討しています。

都心へ近づけば近づくほど、人が多ければ多いほど、興味の範囲が広く、対応して研修の量も多く、成年後見人や税務訴訟補佐人などの公益性のある分野の講座の受講にも積極的に感じます。

 

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