自計化した法人が顧問税理士に相談できること・できないこと

自社で会計ソフトに日々の取引を入力する「自計化」に取り組んでいる法人から、よくこのようなご相談をいただきます。

「自社で会計データを作っているけれど、どの範囲まで顧問税理士に相談していいのだろうか?」「普段の仕訳の質問や税務の質問は、顧問料の範囲内で聞いて良いのだろうか?」

本記事は、自社で会計データを入力・管理している中小企業の経営者や経理担当者に向けて作成しております。

顧問税理士に相談できる日常的な業務範囲から、税理士法上の境界線となる他士業の専任領域、そして個別判断が必要なご相談への当事務所の対応スタンスまでを整理しました。

自計化した法人が顧問税理士に相談・依頼できる主な業務

自計化した法人であっても、日々の取引を記帳する中で「この処理で税務上問題がないか」と不安になる場面が多々あります。

当事務所が対応している主な業務範囲は以下の通りです。

会計データの税務チェックと迷いやすい取引の税務判断相談

自社で入力いただいた会計データについて、勘定科目の選択や仕訳の妥当性、税法上の取扱いをチェックすることは、顧問業務の根幹をなすものです。

  • 「この支払いは修繕費として一括経費にできるか、それとも資本的支出として資産計上すべきか」
  • 「売上や費用の計上時期は妥当か」
  • 「役員や従業員への支出を損金計上できるか、給与認定されるおそれはないか」
  • 「固定資産の取得や売却時の仕訳は正しいか」

経営者や経理担当者が判断に迷った際、専門的見地から法的根拠に基づいたアドバイスを受けることができます。

当事務所では、代表税理士が直接データを拝見し、職員任せにすることなくスピーディーに回答いたします。

消費税区分・源泉所得税の扱い・税制改正への適切な対応

税制は複雑化する一方であり、自社だけで税制改正に対応することは容易ではありません。

特に以下の実務領域におけるご相談は顧問契約の重要な対象となります。

1. 消費税の課否判定・インボイス制度対応

課税・非課税・不課税の判定や、インボイス(適格請求書)の保存要件を満たしているかの確認など、実務上の細かい取扱いの助言をします。

2. 源泉所得税の処理

外注や非居住者への報酬に対する源泉徴収の要否など、不納付加算税などのリスクを回避するための助言をします。

3. 税制改正への実務対応

毎年行われる税制改正が自社の経営に及ぶ影響や、税制優遇の適用可能性の助言をします。

決算前のアドバイスおよび法人税等の決算申告書作成・提出

決算期を迎えるにあたり、事前の試算・確認から確定申告書の提出まで一貫して対応します。

  • 決算前のアドバイス:決算の数ヶ月前に着地点を予測し、当期の利益見込みや税額の予測、適用可能な節税策の最終確認を実施します。
  • 決算申告書の作成・提出:貴社が入力された年間の会計データを最終確定させた上で、法人税・法人住民税・事業税・消費税等の確定申告書を作成し、税務当局への電子申告(国税はe-Tax、地方税はeLTAX)手続きまで一括して行います。
  • 申告書控えの納品:申告後の確定申告書の控え及びペイジーによる納税情報をPDFにて納品します。ご希望の場合は、紙による納品も可能です。

顧問契約・申告報酬に含まれない業務および別途確認が必要な範囲

税理士が税務の専門家として行う月次確認や決算申告のほか、これらの枠組みを超える業務については、月次顧問と申告報酬からなる顧問契約とは別料金や別契約となる場合があります。

境界線をあらかじめご理解いただくことで、スムーズな連携が可能となります。

登記・社会保険手続き・法律相談など他士業の専任領域

税理士の根拠法である税理士法は、税理士のみが行うことができる独占業務を定めてます。

各士業にも弁護士法、司法書士法、社会保険労務士法等によって定められた独占業務があります。

例えば、以下の手続きは、税理士が直接業務として行うことはできない、または専門外の業務になります。

取引先や顧客との紛争、雇用トラブル、法的交渉

国家資格

弁護士

税理士の関わり方

法律問題の解決は弁護士の先生をご紹介

役員変更、本店移転、増資などの商業登記手続き

国家資格

司法書士

税理士の関わり方

税務上の影響について助言し、必要に応じて司法書士の先生をご紹介

従業員の給与計算、社会保険料・労働保険料の算定・手続き、就業規則作成、助成金申請

国家資格

社会保険労務士

税理士の関わり方

給与仕訳の税務確認は行うものの、給与計算や各種手続は自社または社会保険労務士の先生の対応

当事務所では、信頼できる専門家と連携を取りながら貴社をサポートする方針をとっております。

その場合、依頼者様と各専門家と個別にご契約頂くことになります。

顧問業務の範囲外の業務

日常の月次チェックや通常の決算・確定申告以外の業務については、通常の顧問料の範囲外となり別途費用が発生するケースがあります。

例えば下記の業務は通常の顧問業務とは別に御見積します。

顧問業務の範囲外の業務内容 当事務所の対応
税務調査対応、年末調整、法定調書作成 顧問契約前の御見積の際に金額を提示します
修正申告・期限後申告、大規模な過年度修正、相続・贈与 対応が必要になった際に御見積します

個別判断が必要なご相談への対応方針と流れ

インターネット上の情報はあくまで一般論であり、「〇〇という取引だからすべて経費にできる」「絶対節税になる」と判断することは、取引の背景や実態によっては、税務上のリスクになり得ます。

一般論で断定せず貴社の個別の事情を丁寧にお聞きする姿勢

「その取引がどのような目的で行われたのか」「実際の契約内容や金銭の流れはどうなっているか」など、貴社個別の実態・事情を丁寧にお聞きした上で、法的根拠に基づいた判断をお伝えします。

また、経営者様に対しては「ダメなものはダメ、いいものはいい」とはっきりお伝えすることを基本姿勢としています。

税務リスクを放置したり、逆に税務リスクを過度に恐れて正当な節税機会を逃したりすることのないよう、正直かつ清廉潔白に助言します。

相談から回答までのプロセスと事前準備のポイント

日常の疑問が生じた際、よりスピーディーかつ正確な税務判断を得るためのご相談プロセスと準備のコツをご紹介します。

  1. ご相談・疑問の提示
    日常の業務で仕訳や税務判断に迷う取引が発生したら、まずはご相談をお寄せください。

  2. 関連資料・事実関係の共有(事前準備)
    言葉だけでのご相談よりも、以下のような裏付け資料や背景情報を事前・同時にご共有いただくと回答が格段にスムーズになります。
    該当する取引の請求書、領収書、見積書当事者間で交わした契約書や合意書「なぜその取引を行ったのか」という背景や目的の説明。

  3. 事実関係の確認と税務判断・ご回答
    お預かりした資料と実態を照らし合わせ、税法上の根拠(条文・通達・判例等)に基づいて、処理方針を回答します。

連絡手段

メールのほか、チャットワーク、Slackにより承っております。

税務に関する質問のほとんどは、はい、いいえと短文で回答できるものはありません。そのためLINEなどのショートメッセージによる連絡手段はとっておりません。

資料の共有方法

メールへの添付のほか、顧問先が共有設定したGoogleドライブ、Dropboxにより資料を共有しています。

自計化を進める法人が安心して本業に専念できるよう、当事務所はいつでも身近で信頼できるパートナーとしてサポートいたします。